距離感

自分はケータイを、平日・休日ともに、1日に3回くらいしか確認しない。平日の例でいえば、朝出発する時、昼休み、夜の退勤前のだいたい1回ずつということになる。電話はめったにかかってこない(かかってきたとしても、勤務時間中であれば家族や消防関係からの場合以外は基本的に無視する)ので、これらはメールが届いているかどうかや現在時刻の確認ということになるのだが、例え友人等からメールが入っていたところで、すぐに返信するとは限らない。休日に手持無沙汰なときであればすぐに返すこともあるが、仕事に関することや急を要するような内容でない限りは、読んでからぼんやりとどうしようかなと考えて、半日くらいしてから返事を送るようなケースが多い。だいたい、受信してから1日以内には返信しようとは思っているが、届いたら、読んだらすぐに返さなくては、という意識は持っていない。これには2つの背景がある。一つは、すぐに返信しなければ用件がどんどん溜まってしまうほどメールが頻繁には来ないということ。週に3件も来れば多いほうであり、少しくらい保留しておいても存在を忘れることはない。もう一つは、すぐに返信しなければ崩れるような神経質な人間関係は現在は持ち合わせていないということ。そうした面倒くさい人間関係はとっくの昔に捨てた。ネットやケータイがなければ維持できない(文明の利器にもてあそばれている)ような、常に気を払わなければ関係が損なわれてしまうような、そんな薄っぺらい信用のおけない人間に頼らなければいけないほど、今の自分の立場や精神は揺らいだものではない。自分の人間関係は一般の人に比べるとかなり狭いに違いないが、だからといってむやみに広げようとすれば、その中には得体の知れない人や悪意を持った人が紛れこんでくるということを昨年思い知ったので、今は狭いからといって何かコンプレックスや焦りを持つような感覚というのはない。それよりも、メールのやりとりに手紙程度のタイムラグを許せるくらいの心の余裕のある、互いに尊敬しあえる関係を何人と持てるかのほうが自分にとってはよほど重要なことだ。そういう人との関係を重視する以上、自分にとっては即時性や同調性を求められるSNSのウェートというのは必然的に低くならざるを得ない。もちろんいたずらに返信が遅れるのはよくないが、そのくらいの距離感を保てる気の置けない関係であれば、それは自分にとってずっと大切な関係であり続けるのではないかと思っている。


昨夜の消防の夜警で、ケータイを20分おきにチェックする団員を目の前にして、自然とそんなことを考えたのだった。

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