H3打ち上げ成功

日本の宇宙開発の切札となる新しいロケット、「H3」の2号機が、今日午前、打ち上げに成功した。ニュースで結果を知ったときは本当にうれしくて、仕事中だったが周りの同僚にも声をかけて知らせずにはいられなかった。

 

昨年の初号機で人工衛星を軌道投入できなかった挫折をバネに、この1年間再挑戦に向けて努力してきた関係者の方々には本当に頭が下がる思いだ。ロケット開発に失敗はない、失敗から学ぶことで成功により近づくのだ、というのはよく聞く言葉だし、科学技術の発展の道のりはまさにおびただしい失敗の歴史にほかならない。失敗は恥ずべきものではなく、乗り越えるべき課題である。だが、殊に日本では失敗は(それがいかに挑戦的なものであっても)社会的に大きな批判に晒されることが多いし、責任論に終始して「次はどうすれば上手くいくか」という前向きな議論への切り替えにものすごく時間がかかることが往々にしてある。この1年、JAXAを始めとした関係者の方々も、そうした日本社会の壁にぶち当たりながら四苦八苦してきたに違いない。そうした困難の末の大きな成果であるからこそ、打ち上げ成功を知って涙を流す関係者の映像をニュースで見たときには、自分も思わずもらい泣きせずにはいられなかった。

 

帰宅して家族が寝静まった夜、2010年6月13日の探査機はやぶさの地球帰還の映像を、以前録画してあったNHKの「アナザーストーリーズ」で再視聴した。何度も何度も見た映像なのに、大気圏再突入で光の筋となって燃え尽きたはやぶさの姿は、やはり何度見ても涙が抑えられなくなる。自分にとって今回のH3の打ち上げは、あの伝説の「はやぶさの日」に匹敵するほどの感動があった。2024年2月17日、この日は新たな記念日として、自分に胸に深く刻まれることだろう。日本のロケットがさらなる挑戦を続け、新たな成果を出し続けてくれることを心から願っている。

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