10月5日(月)、友人のYN氏とともに、長年の大きな目標だったある山に挑んできた。その山は、新潟県の最高峰である小蓮華山(2,766m)だった。
糸魚川市の蓮華温泉登山口までは、高速道経由で車で片道2時間。普段であれば地元で合流してから乗り合せて向かうところだが、YN氏の都合で今回は現地の駐車場で集合となった。彼の都合に合わせての年休での平日日帰り登山はいつものことだが、今回は午前2時起床、3時出発、5時到着という、翌日が仕事の日の登山にあるまじき超・強行軍なスケジュールで、あまりの早起きのせいで前夜も眠れたような眠れていないような状態だった。ただ、体調的にはほぼベストといえるコンディションだったし、現地の天気も曇りで、暑さも寒さも心配なしの好条件。何より、これから念願の山を登れるというワクワクドキドキ感でテンションが上がりに上がっていて、これだけの早起きにも関わらず眠気はほぼ感じなかった。昨年も10月にYN氏と同じ登山口まで来たのだが、そのときは雨が強く降っていて登山を断念した経緯もあり、「今度こそは」とリベンジに燃えてもいた。5時20分、まだ辺りが闇に包まれている中、ヘッドライトの明かりを頼りに、いざ山道を歩き出した。
秋真っ盛りの10月の登山は、2023年の黒姫山以来、おそらく3年ぶり。気温の低さと、日差しの穏やかさのおかげで、夏の登山のように汗が際限なく流れるようなことはなく、首に巻いたタオルで問題なく拭える程度のほどよい発汗で歩を進めることができ、平日とあって途中ですれ違う登山客も少なめだったこともあって、山行は比較的快適だった。樹木の種類もあってか色づきは控えめではあったが、時期的には紅葉のピークでもあった。ほかの登山客は概ねウインドブレーカーを着ていたが、自分は推定気温10度の山頂まで半袖Tシャツ1枚のスタイルを貫いた。風もそこそこあったが、自分の体温調整的にはこれでちょうどよかった。序盤は土の山道だったが、中盤からは小さめの石が敷き詰められた道が多くなった。不規則なゴツゴツした大岩を登っていくタイプの山道と比べると、一定の歩幅で歩ける分、歩きやすいと言えばそうなのだが、踏んだ石がガシャガシャと動くので上りでも下りでも足を取られやすいのと、先端の設置部が安定せずストックを使ったクッションが効きづらいので、特に下りでは足への負荷が大きいと感じた。この石敷の道が自分たちのいつもの登山スタイルとは相性があまりよくなかったらしく、今回はあまり登山タイムが縮まらない一因となった。自分以上にYN氏がお疲れ気味で、ペースが上がらなかったという要因もあった。
登山開始から2時間半ほどで、白馬大池(2379m)に到着。ここからは背の高い樹木がなくなり、景色が一変するとともに、絶滅危惧種のライチョウの生息地にも足を踏み入れることとなった。幸運なことに、今回は登山中に数羽のライチョウと遭遇し、そのうち1回は2羽が自分たちの歩いている登山道上に飛び出してきた。エサをついばむのに夢中で人間には目もくれず、しばらく見守っていても一向に逃げる気配がない。仕方なく30cmほどの距離まで近づいて、その脇を抜けて先に進むと、ようやく自分たちに気づいたのか小走りで茂みの中へと去って行った。知識としては知っていたが、さすがにこれほど警戒心が低いとは、驚きを通り越してやや呆れてしまったほど。とにもかくにも、夏・秋モードから冬モードへとの羽の生え替わりが進む途中のライチョウ(メス)の貴重な写真を間近で撮影でき、うれしいハプニングだった。そこから少し進むと、北アルプスの峰々の尾根が遙か遠くまで連なる雄大な風景が眼前に現れた。これこそが、あのNHKドラマ「坂の上の雲」にも登場した小蓮華山頂へと続く一本道だった。尾根伝いの道は、実際にそれを正面にして歩いてみると、どこがピークなのか分からず、これがピークか・・・いや違った、今度こそ・・・やっぱり違った、というのを何度か繰り返すことになり、中々に険しい道のりだった。しかし、左右に広がる光景は何もかもが絶景そのものだった。一面の雲海、その上に鋭くそそり立つ峰々、雲間から降り注ぐ太陽光が浮かび上がらせる山肌の緑の鮮やかなコントラスト・・・それらの美しさに目を奪われ、何度も足を止めては写真を撮ったのだった。
そして、9時20分、とうとう小蓮華山の山頂に到着。10年来の念願が叶い、新潟県で一番標高が高い大地に自分の足で到達した瞬間の感動は、これまで登ってきた数々の山とは、ひと味もふた味も違う大きなものだった。それを祝福するかのように、時を同じくして偶然にも山頂の「鉄剣」の向こうに虹がかかり、貴重で幻想的な写真も撮影できた。強風が吹いていたが、ガスはなく、長野県側、新潟県側、富山県側の360度をはっきりと見渡すことができたのもうれしかった。天上界のような世界、神々の座のような頂にたどり着けた喜びを噛みしめたのだった。
尾根伝いにそのまま進めば白馬岳まで縦走可能だったが、往復でさらに2時間以上もかかるので、今回の目標はここまで。30分ほど休んでから下山を開始し、13時に登山口まで無事に戻った。有名な蓮華温泉の野天風呂には、時間と体力の都合で今回は足を伸ばさず、13時半に帰途に着き、帰宅したのは16時。移動時間も含めると文字通り丸一日がかりの登山となったのだった。
さすがの新潟県最高峰ということもあり、登山道の長さと、標高差1,300mのアップダウンが思っていた以上にハードで、好天にも関わらず体力的にはかなりシビアだった。下山中からすでにパンパン状態だった足は、翌日には階段を上がるのも辛いほどのプルプル状態になり、完全回復には3日ほどを要した。体力面を考えても、まだ元気な30代のうちに「最高峰」を制覇したことは正解だったと感じている。こうして、大きな目標を達成してしまった今、次の登山の目標をどの山にするかが、目下最大の問題である。とはいえ、今シーズンはこれが最初で最後の登山だろうから、それは来シーズンまでにのんびりと決めればよいことだ。登っている間は少々辛くても、やはり登山には登山でしか味わえない楽しさがある。これだから登山は、やめられないのだ。
<2026/10/5:登山データ>
【小蓮華山】標高2766m、日本百高山
【登山口】蓮華温泉、標高1475m
【登りタイム】4時間(標準5時間)
【山頂滞在時間】35分
【下りタイム】3時間5分(標準3時間30分)
【総所要時間】7時間40分
【総距離】13.7km(ネット上の情報による)
【獲得標高】1291m














(※今回の写真は、フォトライフの「202610小蓮華登山」フォルダに保存した。)
(120分)






