非課税所得

勤務先で年末調整を受けるサラリーマンの場合、給与以外の所得が年間20万円以下であれば、その給与外所得について確定申告する義務は生じない。すなわち、株式の譲渡益等については年間20万円以下であれば納税の義務は生じない。そのため自分は、証券会社に「源泉徴収なしの特定口座」を開設して、毎年この範囲内に収まるように株の取引をしてきた。今年はたまたま運用が好調で、半年経たずに早くも20万円を超過してしまっていたのだが、含み損だった株を売却して損益通算をした結果、実現損益合計は19万8000円ほどとなり、範囲内に収まることになった。やれやれこれで一安心だと思っていたのだが、そこでふと、株式以外の「もう一つの給与外収入」の存在に気が付いた。それは、「消防団の手当」だ。自分も詳しくは分からないのだが、一般的に夜警等の1回の活動で500円もらえると言われており、自分の場合は毎年3万5000円ほどをもらっている。この収入を課税所得とすると、株式譲渡益と合わせた金額は20万円を超えてしまう。さてどうしたものかと調べてみたところ、意外な結論に行き当たった。何と消防団の手当は非課税だったのである。以下は、「所得税基本通達 法第28条《給与所得》関係」から引用したものだ。

(非常勤の消防団員が支給を受ける各種の手当等)
28−9 消防組織法第18条《消防団》の規定に基づき市町村に設置された消防団に勤務する非常勤の消防団員が当該市町村から支給を受ける各種の手当等については、次による。(昭46直審(所)19追加、昭60直法6−5、直所3−6、昭63直法6−7、直所3−8、平19課法9−9、課個2−20、課審4−32改正)

(1) 当該非常勤の消防団員が、消防、水防等のために出動した場合に支給を受ける出動手当、警戒手当、訓練手当等で、その者の出動の回数に応じて支給されるもの(以下この項において「出動手当等」という。)については、28−8の「その職務を行うために要した費用の弁償」に該当するものとして差し支えない。

(2) 当該非常勤の消防団員が、その者の出動の回数に関係なくあらかじめ定められている年額、月額等によって支給を受ける報酬については、その年中の支給額が5万円以下であるものに限り、課税しなくて差し支えない。


※引用元:国税庁HP


自分が受け取っている手当の場合は、支給額が回数に比例することから上の(1)に該当するので、旅費と同様に「実費弁償」と見なされ、課税されないことになる。また、仮に課税される性質の手当だとしても、年額5万円以下の場合は課税対象とはならないことから、やはり課税されない。ということで、消防団の手当については、現状の形態及び金額である限り、税金の心配をする必要はないということが分かった。今まで漠然と気になっていたのだが、根拠がわかればひとまず安心だ。ただ、税金の世界は奥が深いし、制度もころころ変わるから、油断は禁物だ。国民として納税の義務を適切、適法に果たすためにも、気になったらこまめに調べて勉強しておきたいと思う。

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