入団初日

今日、4月1日付けで、市の消防団に正式に入団した。今日はまだ活動服は支給されておらず、帽子が渡されただけだったが、初日で早速活動があったことから、入団したという実感を十分得ることが出来た。


12時から、集落の公民館(コミュニティセンター)で、団員の初顔合わせがあった。自分の集落の団員は、今回入った3人(自分含む)を含めて、全部で15人。部長の元にA班、B班の2つの班に半分ずつに分かれている。戸数からすると、人数は比較的多いほうらしい。団員の年齢構成は、最高齢の人が39歳で団員歴は17年、30代前半が多く、最年少は22歳。自分は下から2番目に若い。まず名簿が配られ、自己紹介が行われたが、家が近所の人以外はほとんど会ったことのない人たちだったので、すぐには顔と名前を覚えられなかったし、自分の自己紹介も名前を言っただけだったので、周りの人に覚えてもらうにはいかにもインパクトが弱かった。何せ、団員の3分の1は同じ名字の人だったから。それに、消防と警察は声を出してナンボの世界だから、大きい声を出さなくちゃ、と行く前には思っていたのに、いざ本番になったらそれを忘れていて、いつものぼそぼそした話し方になっていたのもあんまりよくなかった。まあ、そこで「声が小さい!」と叱られるような厳しい雰囲気ではなく、お昼を食べながら和気藹藹と雑談をするような形だったし、周りの団員も気を遣ってフレンドリーに接してくれたので、緊張することはなかった。とはいえ、彼らに素直に親しみを感じたかというと、それはどちらかといえばノーだった。半分の人がスモーカーだったので部屋の中がかなり煙かったのと、自分にはついていけない話題(興味が持てないか、自分がまるで知らない世界の話)が多かったのには、ちょっとばかりポカーンとしてしまった。例えて言えば、自分が大学の事務職員だという話に及ぶと、「今度、女子学生を紹介してよ」と言われるような具合。そこは、今は学生と全く接点のない部署なので、と言ってはぐらかしたが、本音を言えば、職員は学生を保護・指導する立場なので、誰が要望してきてもそんな場をセッティングする気はさらさらない。教員を連れて来いというのならまだ考えてもいいが、学生は論外だ。・・・なんてことは一切口には出さなかったが、積極的に話すとつい本音が出てしまいそうだったので、話を振られない限りは黙って、今回のところは聞き役に徹していた。それで正解だったと思う。年収の話題になったときも、自分の年収の話は決してしなかった。30代後半の自動車整備工の人が、年収250万円で、職場がうるさいせいか難聴になり始めた、なんて言っているのを前にしたら、とても自分の話なんて出来っこなかった。市役所勤めの人もいたので、自分が公務員もどきだからといって白眼視されることはなかったが、その人はかなり遊び人な感じで、ある意味公務員らしくなく、自分とは好対照だった。この中に馴染むことは出来ないし、その必要はないとも思ったが、いざという時は協力して防火活動に当たらなければならないので、そのためにご近所同士で適度な距離感を保ちつつ角を立てずに付き合っていくことは大切だ。自分とは相いれない一面を持つ人たちと付き合う・・・難しい課題を負うことになったなと思った。そのほか、消防団の研修や活動についての説明や、組織構成、団員に支給される手当の説明等も受けた。市から年4万円くらいの手当が出ると言われたときは、ふーん、確定申告しなくていいレベルだな、と聞き流したが、役職を経験して20年くらいやってからやめると25万円くらいの退職手当が出ると言われたときは、ちょっとばかり驚いてしまった。確定申告をしなくてはいけない水準だ。年が上がるにつれ、部長等の役職も引き受けなくてはならなくなるが、それだけ重要な役割を担わなければならなくなるということだろう。お金があってもなくてもやる気は変わらないが、お金をもらうからにはより一層真剣にやらなくてはならないな、と気が引き締まる思いだった。その他、門名(かどな=屋号)が飛び交い、どことどこが分家本家で、誰誰の家は婿養子でなどといった超ローカルトークが交わされるなど、自分が集落というコミュニティに属していることを改めて認識させられるような場面も多々あった。実家にいても、やっぱりこういう場に出でもしないと、ご近所の情報は分からないものだ。そうして、顔見せの会は、15時過ぎまで約3時間続いた。


夜は、19時前から再び集まった。今度の場所は、消防ポンプ車が置いてある「ポンプ小屋」(「ぽんぽこ屋」に聞こえて笑いかけた)で、19時の時報に合わせて小屋のサイレンを鳴らし、集落内をポンプ車に乗って巡回するという活動をした。初日から早速本格的な活動をしたが、これは今週が「春季火災予防週間」だったことによる。今日から7日まで、毎日誰かしらがこの活動をしなくてはいけない。自分は平日は難しいため、次回は7日(土)に担当することにした。ポンプ車はマニュアルだし、サイレンは小屋の中で電気を使っているとブレーカーが落ちるしで、気がかりな部分もあったが、まあベテラン団員の指導のもとで行うことになるはずなので、そこまで心配はしていない。巡回後は、小屋(というか車庫)の中でまた雑談タイムが始まったが、昼間の疲れが出て、なおのこと無口になっていた。活動のたびにこんなことをしているのかどうか知らないが、お互い勤めているのだから、ほどほどにしてほしいと思った。


そんな訳で、今日は結構濃い1日だった。今週は木曜の夜に新入団員の研修を受けなければいけない。仕事との無理のない両立を実現するため、上司にも打ち明けて理解を求めるとか、活動に対する自分のスタンスを明確にしておくなど、これから色々と環境整備を進めて行こうと思う。

(90分)