スキーグローブ2023

かつてないほどの酷暑に見舞われた今年は、スーパーエルニーニョ現象によって暖冬・少雪傾向になると予想されている。豪雪地帯と言われる自分の住む地域でも、地球温暖化の進行で、ただでさえ降雪量が年々減少してきていることは、疑いようのない事実だ。とはいえ、季節は冬本番に向かって着実に進みつつある。平野から見える妙高山は、平年より半月早い10月6日に初冠雪を記録した上、11月半ば以降は山頂部の雪が消えずに残り続け、寒気の到来と歩を合わせて白いヴェールが徐々に麓へと広がりを見せている。昨日は、今季初めて平地にも本格的に雪が積もり、厳しい寒さが終日続いた。自分はといえば、車のスタッドレスタイヤを新調し、車内にはスコップとスノーブラシを積載済みで、すでに冬装備は万全の状態だ。「雪大好き人間」を自称する身としては、平地でも最低1mくらいは雪が積もって欲しいものだと期待している。

 

自分にとって一番楽しみな冬のレジャーと言えば、昔も今も、断然スキーである。とりわけ、スキーとセットの温泉旅行ともなれば、申し分なく最高に楽しいイベントだった。かつては、友人と現地で落ち合ってのスキー旅行が毎年の恒例行事となっていて、北海道・富良野に、岩手・雫石に、山形・蔵王にと遠征したものだった。だが、結婚して子供が生まれてからは、それもぱったり途絶え、気づけば早7年近くが経ってしまった。自力で滑れない小さい子供を連れて、一人で面倒を見ながら友人とスキー旅行に行くのは困難極まりないし、ましてや子供を妻に預けて自分一人で泊まりがけの旅行など、妻の負担と心情を考えれば、相談するまでもなく言語道断の無理ゲーだった。仮に運良く「決裁」を得られて実現できたとしても、子供と妻のことが常に頭をよぎってスキー旅行を楽しむ気持ちが保てない可能性が高く、離れている間に自宅で何か起こるリスク、何も起こらなくても妻の機嫌が冬の天気のように急変するリスク(自然現象と同じで前触れもなく合理的な理由もない)を鑑みれば、多大な精神的労力というコストに見合うメリットを享受できそうにもなかった。つい先日も、妻の体調不良をきっかけに、安牌を切って職場の忘年会を当日にドタキャンしたばかりだ。それゆえ、行きたい気持ちを封印し、日帰りスキーを年2回も行ければ万々歳というスタンスで、この数年は細々とスキーの趣味を続けてきた。職場関係で一回、1泊だけ家族を連れずにスキー旅行ができたことがあったが、妻と子供が帰省したタイミングで偶然実施できたので、これは例外中の例外だった。

 

そんな期間が続いたものだから、所有しているスキー用品の「購入年月入り」のリストを掲載した記事を書いた6年半前から現在まで、ほとんどのスキー用品が未だに買い換え・更新されることなく、そのまま使い続けられている。当時の時点でも、当面買い替えは出来そうにない…と覚悟していたが、プラスチック製のブーツなど耐用年数がすでに過ぎているものもあり、安全面を考慮しても、いい加減使い続けるのも限界に来ている。

 

ということで、先日購入したのが、「HAND OUT」というブランドのスキー・スノーボード用のグローブである。

自分としては初めてとなる、ミトン(親指以外の指が分かれていない)タイプのグローブだ。通常の手袋タイプより、こちらのほうが暖かそうだし、防水性や耐久性も高そうだと判断した。このグローブの最大の特徴は、その名称のとおり、「ジッパーを開けると手を出せる」という非常にユニークな構造になっていることだ。自分の場合、デジカメで写真を撮ったり、ティッシュで鼻をかんだりする頻度が高く、そのたびにグローブをいちいち着脱するのが面倒で、地味にストレスを感じていた。この製品なら、それがグローブを外すことなく簡単かつスピーディにできる上、本体の真ん中当たりがパカッと開くので換気の面でも効果的だ。何より、付けたままでよいということは、リフト内などに置き忘れるリスクを減らせるということでもある。一石二鳥どころではなく、三鳥・四鳥のメリットが期待できる。スポーツ用品店でこの製品を見つけてビビッと来て、約1万円で購入した。余裕資金がない中で思い切って買ったので、ぜひ長持ちして欲しいと思う。

↑グローブの下にはインナーグローブ(昨シーズン購入)を付けているので、屋外で手を出しても寒くはない。インナーグローブはタッチパネル対応なので、つけたままスマホ操作も可能だ。

 

これまであまりにもリスクに慎重になってきたが、子供も来年から小学生でずいぶんと大きくなってきたし、3年続いたコロナ禍もようやく過ぎ去ったから、友人との関係を再び温めたり、再構築したりするには、この冬はちょうどよいタイミングでもある。ぱったり連絡が途絶えたままになっていた友人たち(特に、会わないうちに結婚して子供も生まれて、自分よろしく環境が激変したであろう彼)とも、思い切って自分から連絡を取ってみたいと思っている。当然、簡単には実現しないだろうが、ここで何かアクションを起こさないことには、このままズルズルとまた5年、10年と経って完全に音信不通になってしまうだろう。自分にとって数少ない気の置けない友人たちを、年賀状のやりとりだけの関係に風化させるわけにはいかない。

 

妻に「友人とスキーに・・・」と切り出す勇気を持つためにも、普段から意識して、今まで以上の質と頻度で、妻の心身のケアと子供の世話を頑張っていく必要がありそうだ。

 

(90分)