雑感:2023/04/09

怒濤のような年度末の嵐は過ぎ去り、4月から新年度が始まった。しかし、相変わらず、立ち止まって思索に耽る、感慨に浸るといった余裕は持てず、1日1日が瞬く間に過ぎ去っていく。振り返り、書き留められなかった日々は、この手から離れたが最後、忘却の彼方へと消え、二度と取り戻すことはできない。まるで、風に吹かれて、なすすべも無く飛ばされていく灰のように。不可逆的で再現性がなく、かけがえのない、今この瞬間・・・。もしかしたら人生最後の日になるかもしれない今日という日を、心の中に浮かんでは消えていく儚い思いを、ただ「タスクをこなす」ことだけにかまけて、蔑ろにしてしまっていいものなのか。文章としてまとまりは持たせられないとしても、少しでも「思いの痕跡」は残したい・・・。そんな焦燥感に突き動かされ、妻の目をかいくぐり、休日の家事育児のスキマ時間をかき集めて、今の自分を見つめてみることを試みた。

・「3月28日に坂本龍一が死去」というニュースが4月2日に流れてから、この1週間、報道番組等で坂本龍一の楽曲を頻繁に聴いた。自分がいつから坂本龍一の音楽を聴いていたか、今まで意識したことは無かったが、自分のPCのiTunesを調べると、2010年2~4月にアルバム「YMO GO HOME!」、「/04」、「/05」を取り込んだ記録があるから、この頃にはアーティストとして認識していたのだと思う。その直前に初音ミクオーケストラ(HMO)を聴いていたから、それがきっかけでYMOに興味を持ったのだろう。たまたま今年1月にNHKで放送された坂本龍一のピアノソロ番組を視聴していて、レコーダーに消さずに残してあったので、訃報が流れた日の夜に再び鑑賞した。本当に最後の力を振り絞って演奏していたんだと思うと、「東風」も「Merry Christmas Mr.Lawrence」も、聴き慣れているのに、しみじみと心にしみるものがあり、病気でやせ細った姿も相まって、切ない気持ちになった。そしてその翌日、新年度最初の宿直の夜に、「ライディーン」と「Merry ~」がエンドレスリピートしていた。

・今年度は、消防団がらみで2つのイレギュラーがある。1つは、8年ぶりに所属する消防部が「小型ポンプ操法」の大会に出場することになっていること。もう1つは、その消防部のトップである部長職を自分が務めることになったことだ。つまり、自分が部長として大会まで団員を率いなければならない。そのため、昨年末から大会に向けた計画の立案を始め、練習の日程や実施体制について多くの議論を重ねてきたし、実際の操法練習も先週から週2回ペースで開始した。自分は操法を披露する選手ではないし、現場での指揮監督は班長に委任する体制にしたので、週1での参加に止めるつもりだ(何よりアパートから練習場所に行くまでに車で15分もかかるので、毎回は到底無理だ)が、それでも朝5時台から集まって、1時間ほど活動するので、身体的に相当しんどいものがある。まだ始まったばかりだが、課題と不安だらけで頭の痛い案件だ。この練習に加え、部長会議など様々な消防関連の予定が入るようになったことから、この春から2019年以来4年ぶりに「ほぼ日の週間手帳」の使用を再開した。今までは「年単位」だったが、今回は「Spring」という「年度単位」のものを選んだので、来年の3月末まで使用可能だ。子供が生まれてからというもの、長いこと家庭最優先で家庭以外の用事は極力入れないようにしてきたので、手帳に自分で新たな予定を書き込んでいくのは何だか新鮮な感じがする。かつての習慣が復活したというより、1つの時代を乗り越えて、新たなフィールドに進んだような、そんな気がしている。

・今年は花見に行くことも無く、早々と桜が散ってしまった。例年よりずっと開花が早かったし、満開のピークと自分の休みが合わなかったので、タイミングを逸してしまったのだった。この桜の移ろいの早さを見るたび、毎年思うのは「自分は一体あと何回、桜を見られるんだろう」ということだ。桜は花としての美しさ以上に、儚さの象徴として、人の心を強く動かす。余命幾ばくか分からないからこそ、来年はきちんと花見に行きたいものだ。

・係長職は2年目に突入。初めて係に新採用の職員が配属された。大学を3月に卒業したばかりの新社会人だ。一から仕事のルールや心構え、ビジネスマナーやPCスキル等のテクニックも自分が中心に教えていくことになる。新人教育は自分にとって10年来のテーマであり、2年前に隣の席に新人くんが来たときから、将来を意識して試行してはいた。いよいよ来たなという感じで、戸惑い半分、楽しみ半分という心境だ。自分の仕事と並行してのことになるし、自分自身OJT(という名の放置プレイ)以外の教育はほぼ受けたことがないので、なかなか体系立てた教育は難しいが、多少お節介気味でもいいから、積極的な声かけやアドバイスを意識して実践していければと思っている。できれば1on1ミーティングとかもやってみたい。

・今年のスギ花粉の飛散量は、10年に一度レベルの多さだという。実際に外を歩いたりすると、尋常ではない「濃度」なのを実感するし、コロナ対策として以上に、花粉対策としてマスクはまだまだ外せないというのが正直なところだ。車の外装も花粉まみれだが、車内にも蔓延するから、車の運転中もマスクは外せない。外した途端に、くしゃみと鼻水と目のかゆみに襲われる。自分の花粉症は近年沈静化傾向で、もう耐性(?)が出来たんじゃないかと楽観視していた部分もあったが、まだまだ現役だったということを再認識させられた。花粉が収まって自転車に気持ちよく乗れるようになるのは、大型連休のころだろうか。

(120分)