ある日のテーマ曲 その3

土日祝日無視のシフト勤務で、世間は連休なのに自分の休みが連休になっていないがために、妻から「そんなに仕事が大事か。家族のことはどうでもいいのか」と、自分に非がある訳でもないのに壮絶なバッシングを浴びせられて心身が疲れ切り、大勢の人でごった返す全国の観光地の様子を浮かれた雰囲気で伝えるテレビのニュースを心底恨めしく感じながら絶望的な気分で眺める、「人生最低」と断言して間違いない今年の大型連休のまっただ中に心の奥深くで流れたテーマ曲。

 

ドラゴンクエストⅦ フィールド曲「失われた世界」

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怒りや、不条理さや、絶望感・・・何でこんなに頑張っているのに、何か悪いことをした訳でもなかろうに、こんな目に遭わなければいけないのか・・・という複雑な感情が入り交じったぐちゃぐちゃな心境、というのが正直なところだ。だが、心が憔悴しきってエネルギーが尽きたような状態でふと流れたのは、20年以上前にプレイしたゲームの美しい音楽だった。自分はつくづく、いつまで経っても、ドラクエに、すぎやま先生にお世話になりっぱなしだなと改めて感じたのだった。

 

今年の大型連休は、5連休のうち3日目と5日目がシフト休みで、その前の週末を含めても連休になっている日はない。ただ、去年の大型連休のシフトも、2日以上の連休はなかったのだが、ここまでコテンパンになじられるようなことはなかった。今年はカレンダー上の連休が長い(去年は3連休)から、余計に妻の逆鱗に触れたのだろう。もはやどうにも手をつけられないほど状況は悪化している。それに輪をかけているのが、子供がきっかけで自分が風邪を引いていることだ。咳と鼻水の症状は辛いし、自分のメンタルも弱っているところに、このまま自分にもうつされたら実家に帰省できなくなる、と妻の怒り心頭もいよいよ手がつけられない状態になっているのだから、もはや途方に暮れるほかない。当然、休めるものなら自分だって休みたいところだ。しかし、他の職員も仕事の都合上、連休を取りたいのを我慢して出勤しているのだから、そうもいかない。やむにやまれずこんな仕様もない休みになっているというのに、同情するでもなく、慰めるでもなく、事もあろうに家族から罵倒されるというこの仕打ちは、とてつもない空しさと悲しさ以外の何物でもない。もはや心にぽっかりとギアガの大穴が空いた気分で、食欲もわかず、酒の一滴すら飲む気にはならない。当然、誰かと会うような予定など入ってはいない。

 

元来、民族大移動のような混雑だらけの大型連休にはうんざりしていた自分だが、今回の一件で明確に大型連休が嫌いになったのだった。

 

(50分)