朝活継続への戦い

自分の発案をきっかけに、職場の同僚有志4人で2013年10月から始めた「朝活読書会」は、この9年間途切れることなく開催され続け、現時点で197回の活動を重ねている。自分にとって朝活は「教養(リベラルアーツ)を不断に高め続けるためのエンジン」としてなくてはならないものであり、今活動しているメンバーとも、その思いは共有している。ただ、年々、参加にかかる「負担」が大きくなっており、今や、活動参加が継続できるかどうかの岐路に立たされている。


負担の1つは、「読書から報告までに要する労力」だ。読書会当日の発表では、たいてい半分以下しか読んでいない状態で参加しているので、朝活が終わった後から読了と報告コメント作成に向けて精読することになる。ただ、仕事と育児の合間を縫って読書の時間を確保するのに毎回非常に困難を伴うことになる。自分の性格上、流し読みが苦手なので、1冊読むのに3~5時間はかかる。直近で取り上げた本は原著が300ページもあった上に、スマホ電子書籍を購入したので、妻の目もあり(自宅での自分のスマホ使用は禁止されている)全然読む時間が作れなかった。自分が一日フリーで使える平日の公休日に自宅に籠もって読書に専念することで、やっとどうにか読み切ったのが実情だった。そして、そこから報告メールのコメントを作成するのにさらに1~2時間かかる。読書はアウトプットが99%、とも言われるように、コメント作成は非常に重要なプロセスなのでここをおろそかにはできない。ということで、朝活1回(本1冊)のサイクルで「4~7時間」かかることになる。昔からこの労力自体は変わっていない(増えてもいないが減りもしない)が、自由時間がほとんどない中では負担が大きく、しかも報告し終わるまでは「あの本の報告が終わっていない」と1日数回、脳内リマインダーがスヌーズ動作をし続けることになる。読書会に対する強い参加意欲の反面、こうした労力の大きさが悩ましい問題としてのしかかる。


もう1つの負担は、「読書会に参加する時間の確保」だ。2015年まで、平日朝に職場の大学を会場に開催していたときは、まだ独身だったこともあり、何ら問題はなかった。ところが、結婚した2016年から土曜朝にカフェを会場に開催する形式となり、その後2017年に子供が生まれ、2020年から現在まで土曜朝のリモート開催に移行してからは、自分の都合だけで参加を決められなくなった。なぜなら参加中の子供の世話をどうするのか、という切っても切り離せない問題が浮上したためだ。我が家では自分が常に子供の世話をするのが基本なので、たとえ1時間だけでも妻に子供の面倒を見てもらうのは「育児放棄」とのそしりを受けることになる。読書会への参加は常に非難轟々であり、開催中も妻からの介入・嫌がらせ行為にさらされている。過去にカフェで開催していた頃には、何回か「子連れ参加」したこともあったが、子供の世話に注意力が割かれるので、他のメンバーの話が頭に入ってこないという問題があり、長続きしなかった。また、常に子供の世話の問題をはらんでいるにも関わらず、朝活に参加しようとする態度そのものが「子供より朝活のほうが大事なのか!」(※)といういわれのない非難を招くことになった。こうなると、妻の機嫌が悪い時には、到底参加することはできないことになる。もちろん、子供と読書会を秤にかけたら子供のほうが重いのは当然だ。それは子供と仕事でも然りである。しかし、2週間に1回、たった1時間の自由時間も許されないというのは、親としての責務以前に、人間の権利・尊厳の観点からいかなものかと憤りを覚える。それゆえ、罵詈雑言を浴びつつも、これまで朝活読書会への参加時間をどうにか確保してきた。


そんな状況をさらに難しくしたのが、今回の出向に伴うシフト勤務の開始である。土日関係なく休日(公休日)が割り振られるので、今までの開催ペースでの週末開催では、定期的な参加はまずできない。参加するための方法としては、他のメンバーの協力を得た上で、

・勤務日の土曜日に、始業前の「7~8時」に開催

・公休日の平日に、(メンバーの)始業前の「7~8時」に開催

・勤務日の土曜日に、昼休みの「12~13時」に開催

といったイレギュラーなスタイルにすることも考えられる。ただ、こうなると、開催日の設定と時間調整の困難さは今までの比ではなくなる。元々、子供の身支度等の都合で開催時間に遅れることが多々あったので、自分の都合で「始業前の7~8時」に設定したとしても時間通り参加できる確証はない。参加するための壁の高さ、しかもそれを乗り越えようとすればするほど、妻による上述のそしり※がより強化され、より強い精神的ダメージを被る矛盾に、考えれば考えるほど「無理ゲー」の泥沼にハマることになる。これが第二の負担である。


メンバーからは「日程は柔軟に対応するから、今後も参加して欲しい」という言葉をかけてもらっている。率直にうれしく、ありがたい限りだ。ただ、過去及び現在、自分と同じ機関に出向経験のあるメンバー2人が、出向期間中一切参加していなかった(していない)ことからしても、少なくとも今までのよう自分が原則毎回参加するのは現実的ではない。もちろん参加はしたいのだが、4月から5月にかけては都合が付かず、結果的に2回連続で欠席となってしまった。


ということで、4月からの2ヶ月間の試行錯誤の末に、月に1回か2回、土日に公休日が重なる日があれば、それを伝えた上で、メンバーの都合と開催ペースの兼ね合いで可能であれば、その日を開催日に設定する・・・という運用でやってみることにした。問題はあるにはあるが、これが一番現実的で、負担の少ない方法だと思われる。うまく行けば、平均で2回に1回くらいは参加を継続できるのではないかと思う。


朝活参加の困難さは高まる一方だが、日常生活に追われて手一杯になりがちな今だからこそ、自分への投資につながる数少ない機会としての朝活の重要性はますます高まっているとも感じている。現状に抗い、様々な問題にその場その場で折り合いをつけながら、これからも朝活への参加を何とかして続けていきたいと思う。


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