反発散

何なんだろう、これは。もはや、真剣に悩むためのエネルギーが、出てこない。色んなことへの不満、鬱憤、怒り・・・そうした負の感情はあるのだけれど、それを誰かに話すとか、文字に書き記すとか、趣味やスポーツに打ち込むとか、酒を飲んで暴れるとか、そういう形に変換して吐き出すことが全くできていない。結果、全てが心の中に沈んでいく。心の底に、固く重い沈殿物として、どんどん積み重なっていく。それで心の動きが鈍重になって、さらに発散できなくなっていく。もう、何が悩みなのか、その正体すら分からないほど、視界はぼやけてしまっている。もうすでに、負のオーラみたいなものが漂っているかも知れない。そう思うと、それを悟られたくないから、余計に人と距離を置いてしまう。自分と向き合うエネルギーも、人と付き合うエネルギーも、何だか出てこない。心のガス欠、とでも言おうか。今はそれがとても厳しくて、ただとにかく、目の前のことをやり過ごしているような、しかし実際にはやり過ごせていないような状態。同情も共感ももはや求めていない。誰にも分かってもらう必要はない。だって自分にも、どうしてこうなのか分からないんだから、人から見て理解できるはずがないのだ。そうやって、手に負えない心の中の全ての問題は、我慢で片付けている毎日。でも、だからといっていつか爆発する心配は、なさそうだから大丈夫。これまでの人生で繰り返し掘り下げてきた自分の心の底はマリアナ海溝よりさらに深いから、そう簡単に埋まってあふれる心配はないし、人には忘れるという素晴らしい能力が備わっているから、負の感情も時間が経てばいつか消える。周りの人たちは、飲み会で発散したりするけど、自分はそういうこととはむしろ避けた方が落ち着く。自分の人生、限りある人生、悩みも全部自分のものだ。誰かに見せるくらいなら、哲学書を読んで過去の哲学者の知恵を借りるほうを自分は選ぶ。これからもそうやって、辛いときは心の省エネ運転で乗り切っていこう。

(20分)