君の名は。

今日は大ヒット中の映画「君の名は。」を観に映画館に行ってきた。妻をスポーツジムに送ったついでに、迎えに行くまでの間に一人で観た。映画館に行くより、自宅で一人で見たい派なので、これまで鑑賞を控えてきたが、あまりに大ヒットしているので、このままではいつどこで誰にネタバレされるか分からないという不安に駆られ、とうとう足を運ぶに至った。観た感想は、ズバリ、素晴らしいの一言に尽きた。新海誠監督とスタッフたちの、素晴らしい仕事に感服した。何て丁寧に作られているんだろうと思わずにはいられなかった。もちろん、作品がアニメーションとして、物語として、おもしろかったのは言うまでもない。時間と空間の感覚を喪失するほど映画に没入し、終了まで一度も腕時計を見ることがなかった。心地よい後味のある終わり方で、映画館を出た後もしばらく現実に戻れなかったし、できれば館内でお茶でも飲みながら、この感覚をしばらく反芻していたかったくらい。とにかく、素晴らしい作品だった。都会と地方を対照的に浮かび上がらせる緻密な風景描写と、それの切り取り方及び再生するスピードの取り方、時間の流れが重要な要素となるストーリー、これらが醸し出す郷愁、切なさを帯びた作風は、同監督の映画「秒速5センチメートル」から引き継がれたものだが、ずっと昇華され洗練されたと感じた。以前、秒速5センチメートルのときには、正直言って主人公に全く感情移入できなかったが、あれを観たときより、自分も大人になり、人を好きになる経験をして心の中で何かが変わった。だからこそ、物語に深く入り込めたし、まだギリギリ20代だからこそ、主人公たちに同世代感を持って感情移入することができたのだろう。今この歳で出逢うことができてよかったと思う。大人こそが観るべきアニメとは、こういう作品のことを言うのだろう。個人的に一番グッと来たのは、クライマックスで、転んでボロボロになった主人公が、手のひらを開いたときに書かれていた言葉を見たときだった。あのシーンには、本当にやられた。でもネタバレになるので、これ以上は言わないでおく。ちなみに口噛み酒のシーンには、アニメ「もやしもん」を思い出して、ニヤニヤした。7年前の「エヴァ破」のときも感動して、上映中に2回映画館に観に行った(今までの人生で2回観に行ったのは3本だけだ)が、本作はしかし、ストーリーを忘れた頃にまた観たいので、当分再鑑賞はしないつもりだ。ブルーレイ購入は決定事項だが、それは5年後くらいにしておこう。忘れていて買うのがもっと先になったら、それはそれでむしろ好都合だ。それが、自分からの本作に対する最大限の賛辞であることを申し添え、本記事の結びとする。

(携帯、50分)
※夜中に目覚めたついでに書いた。この後、再び寝付けず翌日は寝不足になった。