通過儀礼

今日は家族、親戚、実家の近所の家を呼んで、市内のホテルで食事会をした。ケーキ入刀のような演出もなくサプライズイベントもないシンプルな会だったが、これが事実上の結婚披露宴だった。この日のために、自分はこの1ヶ月半準備を重ねてきた。


元々妻は、家族だけで新婚旅行を兼ねた海外挙式をするのが結婚前からの希望だった。それが妻にとっては憧れだったし、自分も一番気を遣わなくていい方法だと思ったので、それだけで済ませようと思っていた。しかし、自分の両親は親戚抜きで行うことを認めず、簡単でいいから親戚のための披露宴を別途やることを強く求めてきた。自分も次第にそれはそうだなと思うようになった。そのため今回の会をすることになり、自分がほとんど全ての準備や調整を引き受け、今日まで取り組んできた。特に何のひねりもないただの食事会とは言え、最低限の要素は必要だ。新郎新婦の和装、親戚一同を含む集合写真、引き出物、両親への花束贈呈等である。これらを妻を通じて妻の両親の意向を確認し、自分の親の希望に耳を傾けつつ進めるのはなかなかに大変だった。ただ、その甲斐あって、概ね想定どおりに会が進行し、無事に締めることができたので、自分としては、肩の荷が降りて楽になった。親戚からたくさんお酒を飲まされて酔っ払い、最後の新郎謝辞のセリフが飛んでフリーズしたのも、振り返ればいい思い出である(結果的にはセリフを思い出してリカバリーできたし)。大変だったが、親戚もみな喜んでいたし、妻の親戚とも顔を合わせることができたので、やってよかったと自分でも思っている。この通過儀礼を経て、また一つ大人の階段を上った気がした。ただ、入籍日には家族だけでセレモニーをしたし、海外挙式の予定は相変わらずなので、パッケージ化された披露宴を普通にやるより手数が増えている気がするのが予定外の結果である。


今日終わった披露宴も、秋に予定している結婚式も、友人抜きの形となるが、自分は友人から派手に祝われるのが大の苦手なので、これでよかったと思っている。友人たちもその辺は理解してくれていると思うが、もし祝いたいという友人がいれば、一緒に飲みに行くのが自分にとってはベストな形だ。個別に会ったほうがじっくり話せるし、ご祝儀だのお返しだのがいらないので、お互いにとって経済的である。挙式を盛大にやって多くの人から祝福されたい、最高に幸せな思い出の1日にしたいという人のほうが一般的だとは思うのだが、自分としては、まぶしく輝く過去の思い出より、静かに笑って暮らせる何気ない生活を毎日続けられることを大切にしたいと思っている。なので、今後も幸せは小出しにして、マイペースに楽しんでいきたい。

(30分、携帯)