大型連休2015

5月の大型連休が終わった。5連休には友人と遊ぶ予定を2件入れていて、いつもより充実した休みになるはずだった。しかし、ちょうど折り返し地点に達した4日の正午過ぎ、事態は急変した。自転車で下り坂を走っていて転倒し、右手首を骨折する怪我をしてしまったのである。


経緯を簡単に説明しよう。4日の午前、自分は家から25キロほど離れた妙高山麓の温泉施設までサイクリングをした。上り坂オンリーな上に向かい風が非常に強く、厳しいコンディションだったが、2週間後に迫った大会に向けた練習のため、必死で自転車のペダルを漕いだ。そして2時間ほどで到着し、スキー場でもらった無料券を使用して温泉に入ってさっぱりした。入館料700円分得をしたと思ったのと、後はほとんど下り坂だという事実が、自分の気持ちを楽観的にしていた。1時間ほどで温泉施設を出て、温泉街で昼食のラーメンを食べ、温泉まんじゅうを買って、サイクリングの目的は達成。雨が降り出す前に家に帰らなくちゃと思って、少しアップダウンのある下り坂を気持ちよく駆け出した直後、事故は起きた。ゆるやかだが林で視界が遮られた左カーブで、スピードがついたまま少しセンターラインをはみ出したような気がしたその時、カーブの先から対向車が現れた。とっさに「ヤバい」と思ったかどうかは分からない。そこで一旦記憶は途切れ、次に目覚めた時には地面に転がっていた。意識を取り戻して最初に目にしたのが、レンズのなくなったメガネのフレームだったことと、状況や日時を認知するまでしばらくかかったことは覚えている。だが、車が見えた後、自分に何が起きたのかについては、記憶が完全になくなっている。恐怖を抑えるための防衛反応として、脳が記憶にストップをかけたのだと思う。人から聞いた話を総合するとこのようになる。自分はセンターラインをはみ出した。そこに対向車が来た。対向車は自分を認識して停車したが、自分はスピードをコントロール出来ずに自転車から転倒。自転車を残して前方に吹っ飛ぶような形になり、その勢いで車に体当たりして道路に倒れた。こういうことらしい。車の運転手が言っていたことなので真偽は確認できないが、その人が気絶した自分のために119番に通報してくれたので、この際真偽は追求しないことにした。自分が目覚めた後は、怒涛のような出来事だった。救急車に乗せられて病院まで搬送さて、救急外来で検査や応急措置を受け、家族が駆け付け、右腕の骨折を告げられ…といった具合だった。そうしてやっと帰宅したのは、事故から約6時間後の18時だった。


今回の事故は、命の危機に晒されかけた未だかつてない緊急事態だった。身体の怪我は、右腕以外にも多数あった。全身を打撲しており、首や背中が痛く、顔や体の左側に集中する擦り傷が見た目にも痛々しく、何より真っ二つに割れたヘルメットが衝撃の凄まじさを物語っていた。今回はこのヘルメットに命を救われたと言っていいだろう。車のタイミングがもう少し早かったら、ヘルメットを付けていなかったら、命はなかったかもしれない。痛い思いをしたが、この程度で済んだのは、本当に不幸中の幸いだった。事故原因は、連日のサイクリングな上に、途中で風呂に入って疲労し、スピードコントロールに対する判断力が低下していたことや、自転車では初めて通る道だったこと、雨が降りそうで焦っていたことなど、複数の要因が考えられる。ただ、とにかく下り坂では極めて注意深く走行しなければいけないこと、一瞬の気の緩みが事故に直結することを、身をもって思い知らされたのだった。


この事故で、GW後半の予定はキャンセルせざるをえなくなり、目標としていた佐渡のサイクリング大会も辞退せざるをえなくなった。愛車のロードバイクも損傷してしまったが、これは意外にも後輪とサドルにわずかなダメージがあった程度だった。とっさに体で愛車を守るというが自転車バカの本能的性質が発揮されたか、単に重量のある体のほうが先に飛んでいったかのどちらかだろう。大好きな自転車も、1ヶ月ほどはおあずけになりそうだ。この事故をどう克服するかで、自転車乗りとしての本質が問われるような気がしている。

(65分、5/12)