基金

自分の勤務先の大学が「基金」というのを立ち上げて、昨年12月から寄付金の受付を始めた。運営費交付金と学納金以外の自己収入を増やすために設けられたもので、集まった寄付金は教育研究や学生支援、施設整備等の経費として充てられることになっている。


寄付金は学外から広く募るのが本来の在り方だが、教職員も振込または給与控除で寄付することが可能である。そこで自分も早速、2月に振込で6万円を寄付してみた。ひと月あたり5,000円×12ヶ月分の金額で、1年分をまとめて支払ったという計算である。課長クラスですら払っていないほどの高額の寄付だったが、自分は何か強い志や目的があってこんなことをした訳ではなかった。ただ単に、そのころは自分の仕事の質の低さに対する不満があまりに大きく、給与をもらうことに対して罪悪感があったため、もらいすぎた給与(特に超勤手当分)を返上するつもりで寄付したのである。ためらいは一切なかった。れくらいに、最近の自分は、自分の仕事への満足度が低い。給与分以上の働きをしたいとは当然思っているのだが、自分の能力や環境がその思いとは裏腹のローパフォーマンスという現実を招いている。この問題については本当に真剣に考えなければいけないことなのだが、自分の怠慢でまだそれが出来ていないのがもどかしいところだ。今のような誰も幸せにならない、誰のためにもならない状況が続く限り、給与を自分のお金だと思って生活費以外のことに自由に使うことは出来そうにない。給与を使うのも、貯めるのも、ためらってしまう。だからって、もらった給与を寄付で「返金」して安心するだなんて、それが「罪滅ぼし」だなんて、そんなのやっぱりおかしいよ。

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