年収(3年目)

早いもので今年度も明日で終わりだ。今日は2012年度の総括の一つとして、採用3年目(2012年4月〜13年3月)の年収を確認してみることとする。エクセルで毎月記録している給与の支給控除額のまとめは、以下のとおりである。


支給額:316万4505円
手取り:261万6358円
控除額:54万8147円




支給額・控除額の構成は、例年と同じなので説明は省略する。金額としては、昨年度に比べて、支給額は79,584円、最終的な手取りは148,321円の大幅な減少が見られた。手取りの減少の理由は、2つの側面から考えることが出来る。一つは、支給額の減少である。基本給は昇給の影響で若干増加したが、超過勤務手当は前年比で10万円以上下がっている。これは超勤時間数が、前年度(11年3月〜12年2月)の170時間から今年度(12年3月〜13年2月)は92時間へとほぼ半減したことによる。超勤の削減は、給与担当の仕事が2年目に突入し、仕事に慣れたことが最も大きな要因で、計画的に実現したものである。ただ、それまで紙を上司経由で課長に出して申請していた超勤が、WEB上での課長への直接申請方式に変更され、上司を介さなくなったことで、上司からの超勤命令(実際には超勤「勧告」)を受けにくくなったということも少なからず影響している。これまでは上司のチェックを経ていたため、超勤をした後、それを申請せずに帰ろうとすると、上司から「やった分はちゃんと申請しなさい」と言われて、後出しで申請するというケースがよくあった。しかし、紙の廃止で上司を素通りすることになったため、上司は部下が超勤を申請しているのか否かを確認することが出来なくなり、申請をしていない部下に超勤申請を促すことも難しくなってしまった。正直なところ自分も、申請を面倒くさがって、あるいは仕事の質(密度)に自分自身納得がいかなくて、行なった超勤を申請せずに帰るということが少なからずある。これは電子化の弊害だと感じる例の一つである。また、国の臨時特例措置に準拠して、12年7月から基本給の4.77%分が減額されていることの影響も小さくない。この措置によって、基本給は毎月約1万円、9ヶ月で72,006円減額され、超勤は3,478円、期末・勤勉手当(減額率6.77%)は25,613円減額された。臨時特例措置による支給額の「逸失分」は101,097円に上る(以上の金額はエクセルで自作の減額影響額計算表(特例法準拠を自己検証済み)による)。支給額の前年割れは、超勤の削減+臨時特例措置による結果だと言うことが出来る。そして、手取りの減少のもう一つの理由は、社会保険料や税金といった法定控除額の増加である。社会保険料は、保険料率が下がった雇用保険のほかは健康保険、厚生年金とも増加しているし、税金も所得比例の所得税が下がった半面、住民税が倍増している。冬季の除雪の財源になっていると思えば納得出来る金額ではあるが、復興増税で14年度から税率が上がるほか、高齢化や工場閉鎖による雇用の減少等で自治体の財政が危機に瀕していることから、更なる増税もやむを得ない状況にあることを考えると、これから徐々に重くのしかかってくる負担となるであろうことは想像に難くない。法定控除が増えることは、個人が消費に充てる可処分所得の減少を招き、経済活動の妨げとなってしまうと考えられる。個人消費の一層の低迷を防ぐためにも、年金支給年齢の引き上げによる年金財政の持続性の維持や、健康増進による健保財政の改善、生活保護制度の根本的な見直しなど、民間、国、自治体が知恵を絞って力を合わせ、歳出の削減とより効果的な活用のための総合的な対策を講じていくことが欠かせない。年収が増えて手取りが減るような「パラドックス」が生じる現状は、健全な状態とはいえないはずである。


さて、ここで気になるのは来年度の年収がどうなるかということだ。自分で作った上述のエクセルの試算表を使って、丸1年間臨時特例措置が適用されることを織り込んで計算してみたところ、310万円という結果が出た。これは超勤が0時間(自分の理想)という設定なので、実際にはこれより多くなるだろう。自分で超勤を申請しなくても、入試などの業務で超勤せざるを得ない場合が必ずあるからだ。この金額はいわば最低額である。控除額は、保険料率の上昇を見込むと、60万円くらいになると考えられる。そのため、手取りは250万円前後ということになる。ほぼ同じ給与体系の下で勤務しているであろうY氏やS君に比べると、地域手当がない分、格段に少ないはずだが、田舎暮らしをするには十分な金額であり、特例措置で減額されていることも含め、不満などはない。むしろ自分の業務が付加価値を生まない純粋なコストであることを顧みれば、もらいすぎの感もある。ただ現実問題としては、収入的にも、家庭事情的にも、今しばらくは実家暮らしを続けるという選択肢が極めて有力な情勢である。またこの3月で父親が50代前半にして仕事を早期退職し、祖父母の年金を除く世帯収入が半減に近い減収になるなど、家計の余裕も十分ではない。すでに父からは、家に入れるお金の額を増やすように求められている。安易なムダ遣いをせず、かといって徒にケチケチすることもなく、収入の精密な試算に基づいて、地に足のついた賢く計画的な消費活動をしていく・・・そんな「スマートコンシューマー」の高みを目指して、資産のポートフォリオをも含めたお金全体の生きた使い方について、これからより一層深く考えていきたいと思う。

(100分)