税収減

ある日、年間の人件費を試算する作業をしていたときのことだ。保険料率の上昇で社会保険料が徐々に上がって行くのを見て、はっと気付いた。「このまま上がっていったら、所得税や住民税の税収がどんどん減っていくことになるではないか」と。個人の所得税、住民税は、給与支給額から各種社会保険料を控除したあとの額に課税される。従って、給与が上がらないままで保険料だけが増えれば、税額は保険料に反比例して下がることになる。国家公務員や独法職員の給与が特例法で減額になれば、給与自体が下がるので、当然税額も下がる。歳出削減で財源を捻出するために行われる今回の施策だが、一方で税収減をも招くというのは妙な話だ。それでも歳出削減効果のほうが勝る国のほうはいいとしても、自治体のほうは一方的な歳入減になるから、地味に痛いだろうなと思う。特に大きな企業が少ない地方都市では、国の出先機関が貴重な税源の一つであり、一種の補助金でもあるから、そこからの収入が仮に1割減ったら幾ばくかの影響があるのではなかろうか。国や自治体は当然この現象に気付いているはずだ。今年の年末調整の折りには、昨年と比べどの程度所得税が減ったのか、調べてみるのも興味深い。

(20分、携帯)