マイウェイ

「500円で色んな商品を試食したり試供品をもらったり出来るイベントがある」と、昨日昼飯を一緒に食べた知り合いの人に教えてもらった。広い会場に企業のブースが並んでいる見本市みたいなのかなと想像して、今日の午後、ちょっとうきうきしながら、車で10分ほどのところにある文化ホールに行ってみた。が、そこで見たのは、ある会社の健康食品や化粧品を熱心に愛用する人達が各コーナーに殺到する異様な光景だった。最初に見たときは、何かオバサンたちでごった返してるな、程度にしか思わなかったが、知り合いが商品をやたらと自分におすすめしてくるのと、会場にいる人同士がやたら親しげに挨拶を交わしていたこと(魚沼から来たとか、富山から来たとか)、会場に掛けられたアメリカの企業の垂れ幕を見て「これはおかしい」と確信した。アニメ版の「NHKにようこそ!」に出てきたマルチ商法と同じ類いのものに違いない、と。だから自分は、知り合いの熱心な勧誘にも気のない返事を返し、カタログをあげようかと言われても断り、終了時刻を待たずして会場を後にした。ここでその場の空気に飲まれて少しでも興味のあるような振りをしてしまえば、とことん付きまとわれてしまう。こういう場合は、商品やサービスに全く関心を示さず、かといって無下に否定もせず、穏便に相手を受け流して諦めさせるのが定石だというのを、自分は心得ていた。その甲斐あって、一円もぼったくられずに退散することに成功したのだった。まあそもそも、健康への不安を煽ってそういうものを買わせる商法は、健康が取り柄の自分には通用するはずもないのだ。会場の体脂肪計で計測した「体内年齢」は17才、顔の肌のキメの細かさとハリの良さは体の中で一番紫外線の影響を受けにくいひじの内側並みという結果で、商品を売り付けようとしていたスタッフのオバサンをして口ごもらせてしまうほどだった。そういう意味では自分のレッセフェールな健康管理にも自信を持てたし、来た価値はあったとも思う。いずれにしても貴重な体験だった。身近なところでこんなことが行われているとは全く知らなかった。自分はそういう警戒意識を備えているからよかったものの、無知で無垢なうちの学生がカモにされないとも限らない。職員として、今後はこういう怪しいものに目を光らせておこうという思いを強くしたのだった。

(30分、携帯)