【支出分析(1)】コーヒー

自分の日々の収入と支出についての記録のことを、自分は「収支記録」と呼んでいる。個人の出納帳を指す言葉としては、家計簿というのが一般的だが、自分は今のところ一人暮らしでも世帯主でもなく、家計を支えていないので、家計簿とは呼べない。そのため、収支記録という名称になっている。この記録は、当時9才だった1997年7月6日から始まり、その後現在に至るまで一度も途切れることなく連綿と継続されている。また、最初は紙のノートに記入する形式だったが、2008年6月からPCの家計簿ソフトを使用する形式に移行して電子化され、それに伴いクレジットカードや銀行口座からの支出もソフトに一元化された。そして、収支記録本体とは別に、レシートも全て紙媒体で保管されている。そのため、自分が付けている様々な記録の中でも、最も情報の網羅性と信頼性が高く、電子化とシステム化が進んでいる記録だと言える。


この記録には、ロードバイクや家電の購入といった大型の出費から、自販機での飲料の購入や、神社でのお賽銭といったごく少額の出費に至るまで、全ての費目が購入した商品・サービスごとに、1円単位で記入されている。例えば、スーパーでの買い物なら、ポテチ1袋100円、牛乳180円といったように、商品単位で、金額を端数処理せずに記入しているということである。そのため、この記録の記入には膨大な手間と労力を要する。この「システム」を運用するための必然的工夫として、まず、普段の生活の中であらゆる出費の場面で、記録を極力残すようにしている。コンビニ等でレシートをもらうのは当然のこと、自販機などレシートが出ない出費については、デジカメで買った商品を撮影して、金額と商品名を写真という形でメモする。お賽銭については、放り投げた額を忘れないようにしっかり記憶するか、もしくは手帳にメモする。お金の貸し借りは、記録にズレが生じる最大の要因なので、原則として行なわないことにしているが、旅行や飲み会等で止むを得ず立替払いや割り勘が生じた場合は、金額を忘れないよう支出が生じたその場で速やかに精算することにしている。その際も、端数を切り捨て、切り上げはせず、1円単位まで計算するのが大原則である。端数処理が面倒だからと余分に受け取ったりするとあとで記録と財布の金額が一致せず、嫌な気分を味わうことになるからだ。ただ、このやり方については、友人からも不満を呈されることが多い。それから、最終的にソフトにデータを入力するのだが、レシートのない出費については、メモや写真の記録を総動員して、1円ももらさないようにこういう極めて綿密な確認をしながら作業を行うことになる。そのため、1か月分をまとめて記入しようとすると、半日近くの時間を要することも珍しくない。こうした面倒くさいシステムを維持するために、自分が投じているエネルギーは大変なものだ。にもかかわらず、これまでこの記録はただ付けるだけで、その後の活用がなされていなかった。


この記録に蓄積された情報は、データベースとして非常に質の高いものである。記録した後でこの中のデータをきちんと集計・分析すれば、自分のお金の使い方の癖が明らかになり、お金をより有効に活用するための示唆が得られるはずだ。そういうわけで、テーマを決めて、データを分析してみることにした。


今回は、「コーヒー」に関係する出費について調べてみることにした。自分は、ほぼ毎日何らかのコーヒー飲料を飲んでいる。特別好きという訳でもないのだけれど、何ともなしについついコーヒーばかり買って飲んでしまう。コーヒーは自分にとって、そうした身近な存在である。では自分は一体、1年でどれくらいコーヒーにお金をつぎ込んでいるのだろう。そんな疑問から調べてみた結果は、以下のとおりである。



※「コーヒー」の判定条件
・コーヒーを単体で購入した支出のみを計上する。(食事のセットの中にコーヒーが出てくるような場合や、ほかの商品と価格を切り分けられない場合は除外)
・コーヒー牛乳等の「乳飲料」は含まない。
・職場で徴収されるお茶代は含まない。
・スティックコーヒーや希釈して飲むコーヒーも含む。
※「コーヒー」関連支出の抽出方法
・上記の条件に該当する項目を記録する際、名称に特定の記号(★)を付し、後日抽出するためのマーカーとした。(2011年5月から実施していた)


上記のように、直近の2014年の1年間で、17,932円をコーヒーに投じていることが分かった。出費した回数は107回、1回当たりの金額は167.6円だった。これだけだと、なるほどこんなものなのかという印象で、特に多いとも少ないとも感じない。ただ、増加傾向にあるのは気になるところだ。詳しく分析するため、購入場所を調べてみた。


上記のとおり、購入場所の半分は、コンビニ(53回/107回)であることが分かった。その中でも、セブンイレブンが39回と圧倒的多数を占めている。これは、「セブンカフェ」でホットコーヒーを買って飲んでいたことが大きい。自分は覚醒効果を期待して、セブンのコーヒーを頻繁に買っていた。商品別の集計結果では、「セブンカフェ ホットコーヒーR」が23個で全体の21%を占めており、これを裏付けている。2位は、マクドナルドの「ホットカフェラテS」が10回で9%、その他は全て4回以下で、1回しか買っていない商品は47個と43%を占めていた。前日の仕事の疲労からぼーっとしている頭を無理やり叩き起こすために、セブンカフェに頼っていた自分の姿が、このデータから目に浮かぶようだ。ちなみに、職場にもネスカフェのコーヒーマシン「バリスタ」が置いてあるが、このコーヒーでは覚醒作用が得られなかった。セブンカフェを重用していたのは、色々試した中で最も目覚まし効果が高かったからだ。脳に無理強いをしているのだから、長期的に見て体にも仕事の質にもいい結果をもたらさないのは明らかである。今年は、セブンカフェに過度に頼らないで済むように、心身の健康バランスを意識した働き方をしなければならないと感じた。なお、購入場所では自販機が2位で15回となっているが、自販機での買い物の回数全体は、確認できるだけで47回なので、3分の1はコーヒーだったということになる。選択肢広げて、もっと色んな飲み物を買った方がいいのではないかと思った。


以上の分析結果から、今後意識してみたいことは次のとおりである。


・飲み物を買う時は、「コーヒー」という選択肢を一旦外して、幅広く色んな商品の中から好きな物を選ぶように心掛けてみる。
・セブンカフェの覚醒作用に過度に頼らないで済むように、心身の健康バランスを意識した働き方をする必要がある。
・コンビニで買うと高くつくので、コーヒーに限らず飲み物はなるべくスーパーで買う。
・コーヒー専門店で友人と話したり読書したりしながら過ごす時間は、もっと増やしていい。


コーヒーとは、仕事上の必要からではなく、リラックスしたいときにデザートと一緒に味わうために選ぶような付き合い方をしていけたら、一番理想的だろうなと思うところだ。

(140分)