ランドネ:2013/4/29

大型連休前半の3連休も気付けば最終日。昨日、一昨日は特に予定もなかったので、ほとんど家で過ごしていたが、さすがにこれはちょっとまずいなと朝から感じていた。せっかく晴天にも恵まれているのだから、どこかに出かけないともったいない。しかし、渋滞、行列、混雑、喧騒の類いが好きではない自分は、人が集まりそうなところには行きたくなかった。となると・・・なんて考えるまでもなく、すぐに「自転車でどこかに走りに行こう」という結論に至った。急いで支度を整え、着替えと自転車の整備を済ませると、リュックを背負って愛車にまたがり家を飛び出した。10時前のことだった。


それから約1時間後、自分は「久比岐自転車歩行者道」の起点(入口)に立っていた。JR北陸本線の旧線を利用する形で作られた上越市から糸魚川市まで国道8号に沿って走る自転車道である。正式名称は「県道542号上越糸魚川自転車道線」というようだ。上越地方ではほとんど唯一の整備された自転車道で、ずい分前から走ってみたいと思っていたが、家から少し遠く、なかなか行こうという決心がつかないまま時間だけが経過してしまっていた。その念願を果たすときが、ようやく今回巡ってきたのだった。ここから糸魚川市の終点までは約35km。往復で約70kmとかなり長く、長距離長時間走行仕様ではない自分のクロスバイクにとっては、かなり厳しい道のりになることが予想された。11時過ぎ、意を決して入口の看板をくぐり走り出した。



今日は暖かく、風も穏やかで、絶好の自転車日和だった。右手に日本海、左手には山を望みながら走るのは気分がよかった。最初の3キロほどこそ国道8号の歩道に白線を引いただけの道だったが、すぐに北陸本線の旧線箇所が始まった。



この自転車道は、トンネルが多いのが特徴だ。約10本あり、全てがかつて鉄道用のトンネルとして使われていたものだ。当時は単線だったので狭いが、自転車ですれ違う分には問題ない程度には幅がある。ただ薄暗いので注意は必要だし、中はひんやりしているので半そででは少し寒く感じた。



↑↓最初のトンネルの入り口地点。「糸魚川終点31.8km」とあり、振り返ると「上越終点3.7km」の表示があることから、総距離は「35.5km」と思われるし、実際に走って測った結果もそれに近いのだが、道中の表示ではなぜか「32.1km」と書かれているものが多い。謎だ。


休みの日ということもあり、途中では多くの自転車とすれ違った。基本的に一人で走っている人が多かったが、たまに仲間で走っている人たちも見たし、一度だけレーサーウェアで統一した2、30人規模の団体さんにも出くわした。自転車は紳士のスポーツなので、すれ違ったときには挨拶を交わすのが礼儀とされているし、途中の休憩地点で見た案内表示板にも、挨拶を推奨する内容が書かれていた。自分もぎこちないながら、「こんにちは」と声をかけたり、会釈したり、手を小さく上げてサインを送ったりした。相手から返事が返ってきたのとこなかったのとが半分ずつくらいだったが、返ってこなくても気にしないようにしてその後も挨拶を続けた。




旧線は、基本的に国道より高いところを走っている。車やバイクから見える景色よりずい分眺めがいいし、いつでも立ち止まって写真が撮れるので、とても素晴らしい条件だと感じた。ガソリンを使って楽をしていては味わえない、特別なご褒美だった。




13時過ぎ、自転車道の終点に到着。やったー、と思ったが、感慨に浸っている余裕はなかった。夕方になって気温が下がる前に家まで辿り着く必要があったので、ここでのんびり散策している時間はなかった。本音としては、ここで糸魚川名物のB級グルメの「ブラック焼きそば」でも食べたかったのだが、下調べゼロで来てしまったし、市街地まで行くとさらに帰り道が遠くなってしまう。仕方がないので、すぐ近くで見つけた喫茶店に入り、カレーを食べた。おいしかったが、腹はあまり膨れなかった。また、チョコようなすぐに糖分を吸収出来る食べ物を持ってきてもいなかった。どうにも物足りないながら、そそくさと来た道を引き返した。復路では、かなり強い心細さに苛まれた。徐々に溜まってきた疲労が、精神にも影響を及ぼしてきたようだった。こんな遠くまで来てしまって、ちゃんと帰れるだろうか。早く家に帰りたい。その一心でペダルをこぎ続けた。腕も、太ももも、尻も、首や肩も、とにかく全身が痛くて仕方なかった。こまめに休憩し、自分を叱咤激励しながら、何とか前へ前へと進んだ。



↑休憩スポットは結構多かった。ただ、コンビニ等の補給ポイントに行くためには国道に下りる必要があり、少し立ち寄りづらく、自分は利用しなかった。

↑休憩スポットから見えた「不動滝」。見どころはほかにもたくさんあった。


そして15時40分ころ、とうとう上越市の起点を通過。自転車道を往復で完走することを達成した。往路は途中で自転車道を見失うことがあったが、復路では完全に走破することが出来た。感慨もひとしおだった。


その後は、どこにも寄らず、17時に自宅に帰った。総走行距離は110.5km、実走行時間(信号待ち除く)は5時間45分だった。全身の筋肉痛がいつ治るか分からないが、念願を達成して満足感が得られた一日だった。

(90分)