春スキー

この土日は、赤倉観光リゾートスキー場に泊まりがけでスキーをしに行った。参加者は、去年転出した元財務課長と、その連れであるTさん、それに自分の3名だった。Tさんとは初対面だったし、年も10歳以上離れていたが、物腰が柔らかく笑い上戸で、とても親しみやすい人だったので、会ったときからすぐに打ち解けて、2日間を通じて色々とお話しすることが出来た。財務課長も言っていたとおり、自分と周波数が合っていたのかもしれない。こんなにいい人なのに、奥さんとうまく行っていなくて離婚の危機だなんて信じられなかったが、今回のスキーの間中ひんぱんにその話題が挙がって、Tさんの口から奥さんの色んな悪口が飛び出したので、現実であることは間違いないようだった。子はかすがいで、子どもがかわいいから何とかまだ一緒にいるということも言っていた。財務課長の話も含め、夫婦生活の現実を聴かされて色々と戸惑いを覚えたが、結婚しないことにはこれから先もっと辛い現実が訪れることになるわけで、やっぱりそれでもしなくちゃいけないだと思い直したのだった。


それはさておき、今回のスキーは、雪質がすっかりシャーベットになっていて、思い切り「春スキー」のコンディションだった。板が滑りやすくスピードが出やすいし、雪が重たいのでボサボサの雪面ではターン時に妙な抵抗があり、勾配のある斜面ではバランスを取りにくくて滑りづらく感じた。非圧雪ゾーンでは、シルクの衣擦れのような変な音もした。また服に雪がかかるとすぐにびしょぬれになるのと、雪が汚れているのが不快だった。自分はこういう雪を滑るのはほとんど経験がなかった。1日目は晴れていたので、雪面も景色もよく見えて、まだ楽しめたが、2日目は小雨の上に濃霧まで発生したので、最悪だった。雨の中で滑るなんて初めての経験だったが、もう二度と経験したくはない。とても楽しめる状態ではなかったので、2日目は1時間滑っただけで撤収した。





↑雪が汚いのがどうにも我慢ならない。


今回のメインは1日目の滑りだった。オープンから16時まで丸一日滑った。Tさんがスキーの1級の資格を持つ上級者だったので、色々指導を受けながら、それを意識して滑りの改善のための練習をした。長年自己流で滑ってきただけに、癖が染み付いてしまっていて、それを改めるのは大変だったが、ストックワークや上体の姿勢、体重移動のメリハリとタイミング等を一つ一つ意識して実践するのをひたすら繰り返す中で、だんだんとそれをスムーズに行えるようになっていった。最終的には、Tさんに「最初に比べてずいぶん上手くなった」と評価してもらえたし、体を倒しこめば勝手にカーブするというスキーの「カービング」の意味を滑りの中で実感することが出来てスキーの楽しさをより深く知ることが出来たので、技術の向上という意味では自分なりに手ごたえを得られた。今回Tさんから教えを受けられたことは本当によかったと思っているし、滑り方の「型」を体に叩きこむために(雪質さえよければ)もっともっと滑りたいとさえ思ったほどだった。ただ、そうして自分の滑りに夢中になっていたことで、アクシデントにも見舞われた。スキーヤー同士での衝突である。1日目の12時ごろに、Tさんと衝突したときの衝撃は凄まじかった。今までのスキー人生の中で最大の衝突事故だったと思う。自分が右に向かって滑っているところに、左に滑っていたTさんがぶつかってきて、あっ!と思った時には転倒していた。スピードを出していたことから、簡単には止まらず、弾みで横向きに5、6回ほども回転。ようやく止まって起き上った時には、外れたスキー板から10m近くも離れてしまっていた。Tさんは板が片方外れただけだったが、自分は両方とも外れていた。最初に慌てたのは怪我がないかどうかということだったが、唇の内側を内出血して黒ずみ、タンコブのようになってしまったほかは、大した怪我はしなかった(このコブは完全に治るまで1週間かかった)。一瞬、板で頬を切るような大惨事が起きたのではないかと焦ったのだが、お互い立った状態でぶつかったし、板はすぐ外れてその場で止まったので、板が顔を切るということは可能性は低いのだと今回のことで知った。ただ、ストックが曲がってしまうほどの大きな衝撃だったので、お互い無事だったのは不幸中の幸いというしかない。これに懲りて、その後はスピードを抑えるように気を付けたのだが、一度あることは二度あるもので、翌日にも全く同じような衝突事故を起こしてしまった。今度はほかのお客さんとだったが、昨日よりスピードが遅かったこともあり、幸運にもお互い怪我はせずに済み、トラブルにもならなかった。ただ自分は首が少し痛くなった。視界を広く見渡してよくよく注意して滑らなければならないというのを身をもって思い知ったのだった。



↑曲がったストックをぶつかった時どちらの手に持っていたのか、ごろごろ転がっていたとき、ストックはどういう状態で保持していたのか(体に抱きこんで一緒に回ったのか、頭の側に放り出された状態だったのか)は謎。気になって仕方ない。


スキーを終えて2日目の昼前に家に帰った後は、市内のDEPOに出掛けた。折れ曲がったストックの代わりに新しいものを買うためだったが、板が3、4割引きで投げ売りされているのに物欲を刺激されて、スキー板も買ってしまった。板+ビンディング+ストックの3点セットにビンディング等の技術調整料を込みで、27900円。39%オフと定価のほぼ4割引きだったし、ブランドものなのに、今使っているノンブランドの板を買った時よりも安かったので、ずい分お得だと感じた。板はノルディカ TRANSFIRE75(160cm)、ビンディングはマーカー N Sport FastrakⅢ。値段とデザイン、それにオールラウンド対応、初中級者向けという表示から選んだものだ。売り場のほとんどがロッカースキーだったので、それを買うことになった。よくは知らないが、カービングスキーの一種だそうなので、滑り方に大きな違いはないだろう。ストックは伸縮式のものにしてみたが、滑る条件に応じて長さを変更するほどの上級者ではないので、伸縮機能が役立つ日が来るかどうかは不明だ。ストックは来週から使うが、板はベッド下にでも保管して来シーズンまで使わずにおこうと思っている。来シーズンのお楽しみ、ということだ。持ち込んだブーツにビンディングを合わせてもらって、買ったその足で持ち帰った。解放値は5.5で、今までより1.0強くなった。今後の体重増加可能性と、現状の板の過度な外れやすさと考えて少しだけ上げた。中級者ならこんなものだろう。


今シーズンは、次の週末で終わりにする。早割リフト券を使いきるための消化試合のような位置づけだったのだが、今回技術を伝授してもらったことで、それを徹底的に身につけるという目標が出来た。滑り納めとなる次回のスキーでは、技術を磨き、衝突や転倒もせず、思い切り楽しんで、今シーズンの有終の美を飾りたいと思う。

(90分)