集大成

前夜の降雪の後、快晴に恵まれた今朝は、まさに絶好のスキー日和。今日は同僚のDK氏と一緒にAKAKANへ滑りに行った。AKAKANに来るのは今シーズン11回目で、シーズン券の利用回数のほとんどはここだった。氏の車に途中で拾ってもらい、現地に着いたのは午前8時半前。新雪が積もったゲレンデは、3月中旬とは思えない上質なコンディションで、午前の2時間ほどは純白のパウダースノーを思う存分楽しむことが出来た。最後に残っていた早割リフト券を使ってもらうために彼を誘ったのが先週に続けてAKAKANに来ることになったきっかけで、そのため雪質などは期待していなかったから、これは本当に予想外の幸運だった。この間の滑りは、自分がこの3ヶ月に磨いてきた「体を常に正面に向け、姿勢を低く保ち、エッジをしっかり利かせて滑らかにターンとターンを繋げる」という技術的な目標がイメージ通りに実現出来ていて、まさに今シーズンの集大成というべきものだった。そのため、午前の2時間の滑りだけで、自分はもう十分満足してしまって、昼食休憩後は何だか気の抜けた状態になっていた。それが遠因だったのかもしれない。午後の滑走中、自分は思わぬ転倒をしてしまった。


普通にカービングターンをするばかりではつまらないと思って、ピボットターン(土踏まずのあたりを中心に、その場でくるっと回るようなターン)の練習をしていた時のことだった。左ストックを前方に突きさして、そこを軸にして腰をひねろうとしたのだが、突きさした場所が体に近すぎたために、谷側にあった左足のスキー板が左ストックにぶつかりそれを踏みつけてしまった。ストックに阻まれた板が急停止し「あれっ」と思った次の瞬間、自分の体は足払いを食らったかのように支えを失い、勢いよく前方に放り出された。そのまま左肩から倒れ込む形になり、雪面に体を激しく打ち付けた。よく踏みならされた午後のゲレンデは非常に固く、強烈な衝撃が左半身を襲った。その衝撃の大きさは、一瞬呼吸が止まってしまうほどのものだった。しかし、先行して滑っていたDK氏に追いつかなければならなかったので、すぐに立ち上がり落ちていた左ストックを回収。ストックが折れ曲がっていないことだけ確認すると、再び滑り出した。そのときは「ちょっと派手に転んだな、恥ずかしい恥ずかしい」と思っただけだったのだが、今日の滑走を終了して駐車場まで戻ったところで、2つの大きなダメージを負っていたことに気付いた。1つは、スキー板のダメージ。ストックを踏みつけた左の板のソール(滑走面)に、深さが1ミリくらいはありそうな深い溝がくっきりと刻まれていたことだ。北海道で砂を踏んづけて付いた線状の傷などどうでもよく感じられるほどの、はっきりと目立つ傷だった。1か所の傷が明確な影響を及ぼすほどの繊細な技術を使って滑っている訳ではないから、実害はおそらくないのだが、「ちょっと引っかかる」くらいの感覚的な影響はあってもおかしくない。ビンディング付きで実質2万2千円ほどで手に入れた安物の板なので、補修費用をかけるのもバカバカしいのだが、ちょっとだけそうした選択肢も考えてしまった。もう1つは、自分の体のダメージ。打ち付けた左肩周辺が、徐々に鈍い痛みを発するようになっていたのだ。最近はほとんど全然転ぶことがなくなっていたし、特に今回は滑り慣れた場所でもあったので、完全に油断していて、転ぶときに正しい受身が取れなかった。それが左肩に直に強い衝撃を与えてしまうという結果を招いてしまっていた。そもそも、スキーブーツのロックが一部外れていたり、ピボットの練習にしてはスピードが出過ぎていたりと、自分のミスはほかにも色々と重なっていたから、油断は相当なものだったと言っていい。自分の転倒が引き起こした2つの問題に頭を抱えながら、14時前にスキー場から引き揚げた。その後は、スキー場近くの温泉に入ってから山を下り、16時前に解散となった。









左肩は外見では特にアザも何もないのだが、関節へのダメージは結構大きくて、左腕に力がかけられず、特に回転運動が困難で、車のハンドルを回すことさえ「あいたたたっ」となってしまう有り様である。湿布を貼って2、3日様子を見て、それでも改善しないようなら、整形外科に行って診てもらう必要もあるかもしれない。当初は明日も杉ノ原で滑るつもりだったのだが、この体では到底無理だ。一方で、痛みが我慢できないほどの深刻な状態ではないのも事実なので、そこは不幸中の幸いだったと捉えるべきだろう。スポーツに怪我の危険はつきもの。それを忘れて安全を保つ意識が不十分になっていたことを深く反省しなければなるまい。今回で、スーパーシーズン券の利用回数は計12回、温泉は計2回になった。当初の目標だった20回(早割リフト券換算で元が取れる水準)には到底達していないが、リフト券の定価で考えれば概ね元は取れたと言えるだろう。というか、そういうふうに納得するほかない。目標としていた滑りは習得したし、肩がすぐに治らなければこれでシーズンオフでもいいかなとも思っている。

(80分)