雪道運転

一日中しんしんと大粒の雪が降り続いた今日は、車での通勤に極めて慎重な運転操作を求られた。朝はそれほど道路上の積雪も多くなく、除雪状態も比較的良好だった上、早めに出発したこともあり、いつもより時間はかかったものの渋滞に巻き込まれずに職場にたどり着くことが出来た。だが問題は、帰宅するときだった。雪が心配だったのと、水曜日でノー残業デーだったことから、今日は18時前に仕事を終えて、駐車場へと急いだ。そこで目に飛び込んできたのは、大量の雪に埋もれた自分の車だった。車の上には、15cm近い雪が積もっていた。一瞬たじろいだが、すぐさま気を取り直し、除雪作業に取り掛かった。エンジンをかけ、ブルゾンのフードを被り(フードがない「スーツ用のコート」はこの季節には役に立たない)、トランクから取り出したブラシを使って車に積もった雪を左右に落とし、車が前に出られるようタイヤの轍となる部分の雪をどけ、窓やミラーに張り付いた雪を払い落した。朝に駐車した時にワイパーを立てて置くのを忘れたため、ワイパーが少し凍ってしまっていたのはうかつだったが、フロントミラーが暖まるに連れてワイパーの氷も解け始めたので、幸いにも大きな問題にはならなかった。そうこうしているうちに、「脱出」の準備が整い、家に向けて車を発進した。


自分の車は、前輪駆動(FF)車である。普段の燃費はいいが、積雪が最も深くなるこの季節には、発進時の馬力や走行中の制動力の面でどうしても四駆車に劣る。特に今日の帰宅時のように、中途半端に凍結していて、劣悪な除雪によってデコボコの圧雪になってしまった路面では、極めて頼りない。普段と同じようにアクセルを踏めばタイヤが空回りしてしまうことがあるから、時にはクリープ現象を利用してゆっくりゆっくり加速する必要があるし、走行中は常に車体が左右上下に揺られるため、今にもスリップするのではないかという不安が終始付きまとうことになる。FF車で安全に運転するためには、様々なことに注意を払い、精神を研ぎ澄ませて全神経を運転に集中させなければならない。自分がそのために特に心がけていることとしては、次の4つがあげられる。
①遠回りでも、消雪パイプの埋設された道を通る
②最悪の路面状況では30km/h以上のスピードは絶対出さない
③車体が揺れたら自分にアストロンをかけてハンドルを固く握りしめる
④なるべく幅が広く車線の多い道路、交通量の多い幹線道路を通る
今日の帰宅時も、上の鉄則を実践したことで、何とか無事家まで辿り着くことが出来た。ただ、どんなに注意をしたところで、スリップのリスクをゼロにすることは出来ない。鉄則を守っても、滑るときは滑る。だから、雪道では一瞬の油断も許されないのである。スリップすることの恐ろしさは身に染みてわかっているので、運転中は体を強張らせ、心臓をドキドキさせながらハンドルにしがみついている。消パイの効果は絶大だが、今日のように高田地区に「地盤沈下注意報」が出ている状況であれば常に水が出ているとは限らないし、応用や機転を利かせることも必要になる。雪国ではやむを得ないとはいえ、やはりこんな季節に車を運転するなんて、そもそも無理があるのではないかとも思ってしまう。スキーは好きだし、雪も嫌いではないが、雪道を運転していると雪に複雑な感情を抱いてしまうのは悲しいところである。1月中、特にセンター試験が終わるまでは、こんな調子が続くだろうから、せめて出勤・退勤時間を早めて自分で安全運転のための防衛をするしかないだろう。

(50分)