連動

今日の日経新聞の朝刊の経済面に、「公立小中教職員 給与下げ」という記事が載っていた。国家公務員の給与の削減法案が成立し、平均7.8%の引き下げが実施される場合には、地方公務員である小中学校の教職員の給与も同じ割合で下げる方向で財務省が検討に入ったという内容で、具体的には義務教育費国庫負担金という国からの交付金を減額することで調整するのだという。教員の人から反感を買うことを承知で本音を言うと、自分はこの記事を読んで少し喜んだ。というのも、賃下げが実施された場合に、大学の付属学校に県からの人事交流で赴任している教員と、公立学校の教員との間に給与の格差が生じる心配がなくなったからだ。大学は国家公務員の水準に準じている都合上、国に合わせて給与を引き下げざるを得ないが、その場合に付属教員の扱いをどうするかというのが、給与削減法案が登場してからずっと懸念されていた事項だった。これは他大学でも同様で、今後大学間での会議で議題に上がることは必至と思われていたので、それに先んじて国が方針を示してくれたことに対しては、給与担当者としてはほっとしたというのが正直なところである。給与の高い低いというのは、給与担当がどうこう出来る問題ではないし、担当の個人的な判断や情状に左右されることはあってはならないことだと思っている。担当はあくまで、規則・制度に則って粛々と出来る限り機械的に(同じような事案でケースごとに対応が違うというのでは困る)正しい額を計算するのが仕事であり、高い低いに文句を言われてもこちらとしてはどうしようもない。そのため、重要なのが、規則が公平・公正であることだ。規則が不公平で信頼できないものとされ、文句を言われてしまっては、この仕事は成り立たない。予め公平な規則があり、それを厳格に運用する担当がいて初めて、給与の仕事は信頼を得られるのである。そういう意味で、付属教員に不公平感が生じる心配を未然に防げたのは幸いだった。また同記事では、国が独法に支出している運営費交付金のうち、人件費に当たる部分についても、同じ割合で削減することが書かれていた。つまり、国立大学への交付金自体がそもそも給与削減を織り込んだ額で届くということになる。これも担当としては好都合である。給与削減で浮いた分の交付金の扱い(国にどうやって戻すのかとか)について心配する必要がなくなるし、給与削減に職員から反発の声が上がったとしても、元から給与削減措置済み分のお金しか届いていないということであれば、「そんなことを言われてもどうしようもない」と不可抗力であることを訴えることができる。なおかつ、各大学間での公平性も保たれる。そのため、この記事で示された検討内容については、ほぼ全面的に歓迎したいと思う。もっと早くこうした方針を示してくれれば、無駄な混乱も生じないで済んだのにと思うくらいだ。給与削減の実現までには様々なハードルが存在していると思うが、先に延びれば延びるほど、国民の視線は厳しくなるだろうはずなので、一刻も早く国会での本質的な議論が始まることを期待したい。

(60分)