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政府が一般職の国家公務員の給与を全体で10%くらいカットする見通しであることについて、色々とメディアで報道されている。今まで国の給与制度に準拠してきたうちの大学でも、国の決定と同じ水準で給与カットを行うことになりそうである。本件については、大学経営に関する会議にかけて承認を得たり、学内規則を改正したりしなければならないようで、上のほうではすでにバタバタしている。この先、具体像がはっきりするにつれて、もっと大変なことになるに違いない。そして、実際に給与の減額計算を担当することになるであろう自分も、今回のことについては関心を持たずにはいられない。俸給だけが対象なのか、手当等も含めてなのかなど、何をベースに給与カットをするかで、額はずい分変わってくることだろう。また、非常勤職員や集中講義を担当する他大学の教員(学外非常勤講師)に支払う報酬も削減の対象になるのか、カットして浮いた人件費をどのように国に戻すのかなど、考えれば考えるほど疑問点は増えるばかりで、これらの枠組みを決めるのは相当細かくて難解な作業を伴うことになるに違いない。そして、その後の計算処理はより膨大で複雑なものになるであろうことは想像に難くない。自分にとっては給料が下がることそのものより、先が見えず、学内の誰にも喜ばれない今後の作業過程のことのほうがよっぽど悩ましい。外部からの影響によるものだとはいえ、給与カットに携わることで、他の職員の恨みを買うことになるかもしれないな。恐ろしいことだ。


今回の措置は3年間だけの時限的なものだということになっているが、果たして一度下げたものを再び上げるのを世論が許すのかどうか・・・。そもそも、民主党の公約として2割カットというのがあるし、これが恒久的な給与カットになる可能性も十分ある。ただ、業務量が変わらないまま、人員・人件費だけ減るのは、やり方として限界があるのは確かだろう。公務員だって人間だから、いたずらに収入を減らされては生活できなくなる。志望者が減り、能力のある若い人が新しく入ってこなくなれば、定年退職者を再雇用せざるを得なくなり、人件費が下げられないまま組織の硬直化だけが進行することになり、事態は悪化する。一人当たりの削減幅を抑えた形で、全体としての人件費のカットを効果的に行うには、同時進行で、ある程度の業務量の削減を行うのも欠くべからざるところではないかと思われる。差し当たり、複雑極まる給与・手当制度が抜本的に見直され、もっとシンプルなものになれば、給与担当の仕事も減って、その分人員・人件費を削れるのではないかと思うのだが・・・。

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