センター

センター試験の1日目が終了した。受験生やその家族にとっては、大学入試の成否に関わる一大事なので、もちろん大変なことであろうが、会場となる大学側にとってもそれは同様で、この土日は教員も事務職員も総動員体制で試験の実施に当たることになる。自分は昨年、センター試験で2日間出勤したのだが、幸いにも今年は1日目の今日のみ担当となった。この1日について振り返ってみたいと思う。


今朝出勤したのは7時半。昨年と違って朝の仕事には当たっておらず、早出する必要がなかったので、家を出る時も精神的には余裕があった。自分の担当する入試業務が始まったのは、9時から。廊下に設置された机に就いて受験生に応対する受付・案内業務のための、1時間〜1時間半の「出動」と、事務室での「待機」を何回か繰り返した。入試業務は、対象が高校生を中心とする受験生だとはいえ、ある意味「学生相手」の仕事だったので、普段の給与業務とは違う丁寧さや配慮が求められた。そうしたことから生じる適度な緊張感が、何だか新鮮だった。ただ、試験時間中は受験生の姿が消え、ひたすらじっとしているだけになるので、仕事とはいえ少々退屈であった。事務室での待機中は、書類の起案等をするつもりだったが、出動と出動の間の細切れの時間ではまとまった仕事も出来ず、今まで読んだことのなかった古い文書ファイルを眺めるくらいしか出来なかった。それが少々期待外れだった。そして、大きなトラブルもなく時間は過ぎ、いよいよ1日目の最後の試験科目であるあの試験が始まろうとしていた。そう、英語のリスニング試験である。この試験が、大学側にとってのセンター試験の最大のヤマ場と言っても過言ではない。他の試験科目と違い、受験生一人一人で機械を操作する必要がある等、監督者の対応が複雑になる上、リスニングの機械に不具合があった受験生がいた場合、その受験生の試験をやり直さなければならず、1日目の試験の終了が遅くなってしまうからだ。従って、この試験が終わるまでの間、各試験室を担当する監督者と、大学の試験実施本部には緊張した空気が満ちることになる。自分も今年は初めてリスニングの担当になったので、この時間だけ試験室に入り、監督者である教員の補助に当たった(各試験室の監督者は基本的に教員が担当し、他の試験科目では事務職員は携わらない)。どういったことをするかについては配付されていた資料を読んで予習してはいたが、何分初めてだったのでやってみるまで実感の湧かないことも多く、受験生と同じくらい緊張していた。大勢の受験生がいる中、教壇側に立って視線を受けるのも、普段にはないことなので、また緊張感を高める要素だった。リスニング中はなるべく音を立てないようにしなければいけない。そこで、監督者には「ゴム底の靴」を履くように指示がされていた。だが、自分は今日出勤するまでそのことを知らなかったため、試験直前に配布資料を読んで、自分が革靴しか持ってきていないことに慌てた。長靴もゴム底ではあるが、試験室でそれを履いていることはあまりにも不自然だ。受験生の目には奇異に映る。そこでやむを得ず、ロッカーにあったテニスシューズを履くことにした。以前テニスをしようと思って買ったものの一度も使っていない、未使用の新品だった。黒服にテカテカの白のシューズもアンバランスではあったが、足音の立たない靴は他になく、背に腹は代えられない。結局この靴を履いて試験監督に当たった。そんな感じで、初めてな上に、変わった靴を履いていたことで、否応にも緊張感をもってしまったのだが、幸いにも自分の試験室ではトラブルもなく円滑に試験が終了。その後は事務室で再び待機し、待機命令が解除されて退勤したのは20時だった。


今日の出勤の振替休日で月曜が休みになっているので、明日明後日は気を休めて過ごしたいと思う。

(60分:1/15)