寒冷地手当

今月から、給与明細に新たな支給項目が記載されるようになった。それは「寒冷地手当」で、7360円が振り込まれていた。今までの手当は、通勤手当(交通費)と超過勤務手当(残業代)だけだったが、11月から3月までの5カ月間は寒冷地手当がこれらに加わることとなる。


寒冷地手当は、「国家公務員の寒冷地手当に関する法律」に準拠して支給されているようだ。手当の支給対象となる地域は、同法で細かく指定されている。北海道、青森県では全域、それ以外では東北と関東甲信越、北陸の各県内の特定の地域、近畿中国でも一部の地域が対象となっている。7360円という金額は、同法の表のうち「地域区分」で4級地、「世帯等の区分」でその他の職員に分類される者の額に当てはまる。これは表中では最少の額である。国大職員は「法人職員」だとは言っても、まだこうした国家公務員の給与体系・俸給表や人事院勧告に準じて給与が決められている部分が大きい。教員や役員はどうか分からないが、少なくとも一般職員はほとんどそのまま準拠しているようだ。給与というのは職員のモチベーションに関わる一番デリケートな部分だから、法人化したからといって簡単に手は加えられないのだろう。既存の職員の生涯設計にも影響を与えかねない。それに、たかだか百数十人の小規模な組織において新たに俸給表や給与体系を作り、それを順次見直していくのは大変だし(「一般職の職員の給与に関する法律」なんて細かくて膨大でとても読めたものじゃない)、どう考えても今後減る方向にしか改訂され得ないものに対して、新たに自力でコンセンサスを得るのは現実的には無理だというのもあると思う。また役員の鶴の一声で給料が大きく変動するのを防いだり、大学間での公平性を保ったりする意味でも、自分としては国のものに準拠するのは合理的だと思う。ただ、国のものがシステムや金額において本当に妥当なものなのかどうかというのは、それとは全く別の問題である。自分は5か月間で計3万6800円支給される見込みなので「そんなものか」という感覚なのだが、最大額となる北海道の1級地で、世帯主で、扶養親族のある職員だと、月2万6380円の5カ月間で13万1900円となり、「えっ、いくら寒いからって、これはちょっとでかくないか?!」と思ってしまう。これが実際の支給額とイコールとは限らないが、「一冬で13万円の手当がつく」制度があることは、マスコミが公務員の厚遇批判として取り上げそうなネタである。それが理由かどうかは分からないが、近いうちに廃止されるという話も聞こえてくる。他にも何種類か手当は存在しているのだろうが、給与体系をよりシンプルで透明性の高いものにするためにも、通勤手当と超過勤務手当以外の手当は縮小して、扶養手当などどうしても必要な分については本給に合算させるべきではないだろうか。まあそんなに簡単なことではないというのは、容易に想像がつくことではあるのだが。

(65分、11/23)