電撃

今日は、車に乗って新潟まで遊びに行った。具体的には、新大に行った。かねてから、「平日にもういっぺん行ってみたいな」と思っており、振替休日でいい機会だからと思って行くことにしたのだった。雨の降るとても寒い天気だったが、新しく買ったパーカーとシャツに袖を通して薄着で出掛けた。


新大付近についたのは、午前11時だった。Mちゃんの厚意で彼の借りている駐車場を使わせてもらうことが出来、とりあえずそこに車を駐車して、荷物を背負って歩き出した。学生当時の気分をにわかに取り戻したのは、まだ働いてからの年月より、学生時代の年月のほうが長いからだろう。前者が上回るときがじきやってくるが、今はまだまだメンタル的に社会人より学生のほうに近いだろう。


まず向かったのは、Kのアパートだった。いるかどうか不安に思いつつ、アポなしで電撃的に訪問したら、幸い彼は在宅だった。半年ぶりの再会だった。平日に、突然訪ねたものだから、「変な人が入ってきたかと思った」と言われて驚かれてしまったが、すぐにかつての雰囲気を取り戻し、気兼ねなく話をすることが出来た。会うまでは、彼が置かれている境遇に心配する気持ちもあったのだが、話をしてみて、かねてから研さんを積んでいた演劇の領域でさらに自分の能力に磨きをかけ続けていること、それが他者からの評価も得ていること、別の仕事をしながら演劇をライフワークにするという道筋を現実的に描いていることが分かり、彼はへこたれてなんかいない、前向きに頑張っているんだと思って応援する気持ちが強くなった。彼には敬服の念を禁じ得ない。一方、自分は大学職員の仕事についてや、私生活の様子について語ったが、彼は自分の様子を見て、「社会人になってもそんなに変わってないね」と言っていた。その言葉は割と嬉しかった。


30分ほど彼の部屋で話をしたあと、彼を連れ立って外に出た。次に向かったのは、大学の職員食堂、いわゆるゼロ食であった。ここで待ち合わせをしていた人物がいた。SS君だった。そんなにおいしくはないけど、でも懐かしいゼロ色の定食を食べながら、3人であれこれ話をした。SS君の将来に描く展望の話を聞いて、とても感銘を受けた。具体的で現実的なところが、ビビっときた。最初はそうした話や、ブルーリッジがつぶれたとかいった、地に足のついた話だったのだが、そのうち二人が何か自分は知らない世界の話をしだしたので、ちょっとついていけなくなった。自分の見識が狭いのかな、とちょっと思ったりした。だけど、そうして現実的なことやたわいもないことについてわいわい話をするのは楽しくて、「ああ、自分はこのごろこういう機会に不足してたんだな」とこの場の貴重さを感じ、はるばる来た甲斐があったと強く感じた。




ゼロ食を出ると、午後から授業があるというKと別れ、SS君と二人で行動を共にした。生協の本屋を見たりとかしつつ、かなり色々な話をした。彼も言っていたが、二人でこうしてしっかりじっくり話をしたのは、初めてだった。お互い色んな話題を提供して、言葉を交わした。比較的アカデミックな話が多く、こうして物事の本質っぽいことを話すのもすごくいいと思ったし、何だか頭が活性化するような感じがした。自分が思っていることを、口に出して人に伝えることで、思考の整理が出来て考えが深まるし、逆に分かっているつもりでいたことが話してみたら意外と筋道が通っていなくて、自分の考えがまだまだ浅いことに気づきもする。人と議論することってとても大切なんだと気づかされた。そしてそうした議論が出来る相手というのも、とても貴重で大切なんだということにも。といっても、自分はそうたいそうなことは言えてなかったけどね。


16時15分ごろに、彼と別れ、新大を後にした。天気は相変わらず雨だったが、心はすっきりしていた。帰りのドライブも、好きな音楽をかけながら高速道を快調に駆け抜けたので楽しかった。今回のおみやげは、大学の生協で売っていた饅頭3個。大学グッズは使いどころが難しいから、饅頭でもあればいいのにと思っていたら、実際に饅頭が売られていたのでびっくりした。明日食べてみたいと思う。



(90分)