所詮

ああ、やっぱり自分は出世出来そうにない、世渡りもうまく出来そうにないし、全然コミュ力なんてないわ、と思った。新大職員ばっかりの研修の中で案の定埋没し、懇親会の一次会で帰ってしまったからだ。身内同士の会でもあんまり溶け込めてないのに、知らない人たちの中にぽんっと放り出されても、うまくやれる訳がなかった。つくづく飲み会リテラシーが低いものだ。


向こうは新大の人だから、新大周辺の施設とかの話でもすればいいかと思っていたが、そんなのではそんなに間が持たなかった。向こうは向こうで輪を作って固まってるから、付け入る隙がなかったというか、まあ単に自分が印象に残るような振る舞いを出来なかったということだ。自分が新大卒だということは、事実話のとっかかりとしては抜群に分かりやすい話題性を持っていたのだが、いかんせんそれ以上の話にはつながらなかった。こんな一期一会みたいな場で人脈を築くなんて、とてもじゃないが無理。口下手な自分の人付き合いには、何よりも時間こそが最大の効力を有するのかな、と思ったけど、時間のない社会人にとっては、それすなわち敗北なのではないかと思って肩を落とした。結局自分の大学からは誰も二次会に出なかったので、研修の当番校としてのプレゼンスはもう地に堕ちたと言っていいだろう。まあもうどうでもいいや、元々何の準備も策略もなかったから。同期の縁なんて知ったこっちゃないわ、って感じだ。


でも今回に限らず、飲み会で使える話のネタは持ってるべきだろうなと思った。スポーツとか、趣味とか、面白い経験談とかそんなのが。マニアックでつつけば深いような知識は割と多いんだけど、それよりは誰にでも通用する話題のほうが重要だ。休みの日を使って、そういうのを自分で深めていかなきゃなと思った。いかんせん受け身でつまらん人間だからね。大学1年生が考えるような話だが、そういう経験をすっぽかして4年間過ごしちまったんだから仕方ない。大学生は遊んでなんぼなのにヒッキーしてたんだから、そのつけがここで回ってきたということだ。こんな人間を卒業させてしまう新大経済学部は、さすがといえばさすがである。大学の理念が「自律と創生」だというが、なるほどこれは学生をほったらかすという意味なのだろう。とかなんとか意地悪なことを言ったが、やっぱり母校は母校なので、いくら放任主義の親でもそれなりに愛着はあるので、悪口はそれくらいにしておこう。


名前と顔を覚えてもらえる程度には、面白い人間になりたいと思うのだが、道は果てしなく険しそうだ。とりあえず、スポーツでもやりたいものだ。バドミントンでもテニスでも自転車でもいいからさ。熱っぽくなれるものを一つ、ね。

(50分)