リクライニング座椅子

「しまった!」と朝起きたとき思った。


昨晩、何時に寝たかよくわからないのだ。


気づいたら午前3時台で、明かりが付けっぱなしの状態で座椅子で寝ていた。Sもジャンパーを着たままベッドで寝ていた。


そして明かりを消して再びベッドで寝て、起床したのは8時前だった。起き掛けに思ったのが「一体何時に寝たんだろう」ということだった。


自分は記録に関しては極端なほど神経質で、恒常的記録の空白を何より嫌う偏執狂なので、「就寝時刻の不明」というのはかなり深刻な(しかし決して珍しいことではない)問題だった。起きた途端に時間のことを考えたのがその何よりの証拠だった。


どうやら0時までは起きていたらしいことが、ブラウザの履歴から分かったが、何で寝てしまったのか分からないし、寝る直前に何をしていたかも覚えていない。別に飲みすぎたわけではないので、記憶が飛んだのではなく、座っていた座椅子の気持ちよさに負けて寝てしまったのだろう。


この座椅子というのは、昨年初頭にヤフオクで購入したもので、平べったくすると150cmくらいある割と大きめなタイプのものである。


3箇所を数段階に折り曲げることが出来るリクライニング構造となっており、ヘッドレストもあるので、背もたれの角度を浅くすれば寝るのに使うことも出来る。昨晩はこれのおかげで寝ることが出来た。


思えば、この座椅子を導入するまでは、Sとの飲みの後は大変なものだった。


Sが先にベッドで寝てしまうと、自分の寝る場所が無くなり、朝までろくに寝られないまま過ごす羽目になることが多かったからだ。


タツ用の長い座布団は当時は無かったから、いす用のクッションを敷いて寝ようとしてみたがすぐずれてしまってダメで、壁にもたれかかっても頭が安定せずやはりダメ。困った挙句に風呂桶に湯を張って寝ようとしたこともあったが、当然そこでも寝れるはずはなかった。それで結局朝まで寝たいのに寝られず、ぐーすか寝ているSをいらいらしながら見つめていたのだった。


それがこの座椅子が来たことで解消され、Sがベッドを占領しても快適に寝られるようになったのだった。


まあ快適といっても、背もたれを床まで倒すと部屋のドアに干渉してしまうので途中までとせざるを得ず、そうするとうまく寝返りが打てないため、何度も目を覚ます羽目にはなる(平均で男は一晩に59回、女は16回寝返りを打つらしい(4月15日 日経新聞朝刊))のだが、それでも以前に比べれば雲泥の差。これのおかげで大いに助かっている。ただしたまにちょっと休憩したつもりが、数時間寝てしまったというハプニングも生じるが。


就寝時刻はもはや分かりようもないことなので諦めるほかないが、再発を防ぐために、今後は飲みの際のリアルタイムでの記録が求められるところだ。楽して確実に記録が残る仕組みを、これから作って行かなければ。人様から見ればバカバカしいことだと思われそうだけど、自分にとっては必要なことだから。


おそらく自分は「記録依存症」なのだろう。記録をつけなくては気持ちが落ち着かない。「内定が出たらやめる」とか行って、今でも日に1箱タバコを吸うのをやめないSのこと、あんまり非難できる立場じゃないのかもしれないな。やめて欲しいけどね。

(30分)