オーモリ

実家から車で5分ほどの近所に、昔からあるラーメン屋、「オーモリ」。


今日の昼食は、そこで食べた。


行ったのは、父、自分、弟の三人。


日曜の昼ということもあって、店内は大勢の客で埋まり、ほとんど満員だったが、幸いすぐに空いていたテーブル席に座ることが出来た。


思えば高校時代までは、この店によく家族全員で来ていたものだった。家から近いこともあり、家族で外食する場合はもっぱらここだった。


時代の流れと共に、店の様子も変わっていった。


外壁の塗装が塗りなおされたり、内装が新しくなったり、テレビが薄型の大画面になったり。それらがいつの出来事だったかはとんと覚えていないが、ここでラーメンを食べた光景は、いくつも残っている。高1の4月に、初めて携帯を買ってもらった日も確か日曜日で、お昼にここでラーメンを食べたのだった。


そういえば、高校に上がってからは、健康を意識してか、ラーメンではなく「野菜炒め定食」を注文することがほとんどとなっていた。今年8月に同じメンツで来店した際も、それを注文して、あまりの量の多さに音を上げていた。


もしかしたら、ここのラーメンを食べたのってもう結構ご無沙汰かもしれない。


そう思ったことから、今回はきちんとラーメンを味わおうと考え、「ラーメン」を注文した。


混んでいたが、さほど待たずにそれは運ばれてきた。


食べてみると、コシのある麺と、醤油味のあっさりめのスープの味に、懐かしさを感じた。そして、大学周辺の店より安いのに、そのどれにも負けない美味さだと思った。


思い出の味は健在だった。何だかうれしかった。


世の中は目まぐるしく変わるし、自分を取り巻く状況、環境、生まれ育った町も、人も、変わっていってしまうけれど、この店と、この味は変わらないで欲しい。今後も自分の人生と共にあって、節目節目に、今は無くなってしまったものや、大事な思い出を呼び起こしてくれるような、一つの拠り所であって欲しい・・・。


店を後にする際、ふとそんなことを願ってしまう自分がいたのだった。

(35分)