ランドネ:2014/9/7

昨日は朝から雨上がりの澄み切った青空が広がっていた。丸一日何の予定も入っていない。となれば、すべきことは1つしかない。自転車で出かけることだ。それに気が付くと、慌ただしく支度をして、9時45分に家を飛び出した。



今回は、こんなルートで山の中を45kmほど走ってきた。この中で、3つのチャレンジをした。


第1のチャレンジは、標高800mにある光が原高原まで無休憩で登ることだった。昨年8月にクロスバイクで挑んだところ相当にキツい体験をしたのだが、今回は前回とは違うルートで、初めてロードバイクで再チャレンジしてみた。すると、思っていたよりは簡単に、16kmの道のりを登り切ることができた。しかも、所要時間は1時間10分と、前回より短い。もちろん道中はオール上り坂でキツかったのはキツかった(平均斜度11%の坂が1km続いた区間があった)し、日差しも強くて猛烈に汗をかいたし、「何で自分は好き好んでこんな辛いこと(ヒルクライム)をしているんだ!」と自問自答もした。それは答えの分かり切った問題で、「人生に比べたら遥かにシンプルで明確なハードルだから」である。とはいえ、登り切った後も体力には余力があり、道路脇の細い柱の上に立って写真を撮れるほどに足もしっかりしていたから、前回との消耗度合いの違いは歴然としていた。どうやら自分の足と体力は、以前よりパワーアップしているようだ。月末に参加するヒルクライム中心のロングライド大会に向けて、体力バカっぷりに少しだけ自信を持てた。ただ、1つ心残りだったのは、写真を撮るために、登る途中で3回ほど足を着いてしまったことだ。次回のチャレンジでは、一切足を付かずに、完全無休憩で1時間を切ることを目標にしたい。1時間で標高800mまで登れるなら、趣味のロード乗りとしては上出来の部類だろう。



↑地元の自慢の一つ。1927年2月に8m17cmの積雪(人が住むところとしては世界一)を観測した地点である。



↑頸城平野がきれいに一望出来た。


光が原では、自転車を停めて、立ったまましばらく休憩した。時計を見ると、11時15分ころだった。トレーニングのつもりで登ったが、まだ足に余裕があるので、ここで家に帰るのはもったいない。なんならもうひと山登ってくるか・・・そう思って再び自転車を漕ぎだすと、来たときとは別の道路で下り始めた。登りの斜度がキツいということは、下りは猛烈にスピードが出る危険があるということだ。うっかり急ブレーキをかけようものなら前転して大事故必至の連続カーブの下り坂を、下ハンドルを握ってカーブ手前から徐々にブレーキをかけしっかりスピードを殺しながら慎重に走った。登りよりも道が広かったので、カーブでやや大回り気味にコースを取れたのは助かった。やはり、登りは南側、下りは北側の道を選んだ今回のルートが一番走りやすく合理的なようだ。前回はこれと反対だったから苦労した部分も大きかっただろう。


7.5kmを道なりに走り抜け、一気に標高差550m分を下ったところで十字路を右折。ここで再び上り坂に突入した。ここからが第2のチャレンジだった。すぐに再び右折し、舗装された林道に突入。地元の人間でなかったら、一人で突っ込むなんてとても心細くて出来ないような、人家もなく木々の生い茂る山道を、黙々と登った。さっきに比べると緩い6%程度の坂だったが、目標地点までの距離と標高が分からなかったので、心理的には結構厳しい面もあった。ただ、さほど長い道のりではないことは分かっていた。その感覚は結果的に正しく、登り始めて3.6kmで目的地にたどりついた。


11時45分過ぎ、坊ヶ池キャンプ場に到着。これまでにも、何度か登っている定番ともいえるスポットである。標高は480mだったから、200mほど登ったことになる。ここにある山荘のレストハウスで、ラーメンを食べるのが目的だった。店内に入ると、まず水を飲んだ。とにかく喉が渇いていた。それに、当然腹ペコでもあった。いくらでも食べられるような錯覚を覚えるくらい、お腹が減っていた。それで、「ジャンボ味噌ラーメン」と「手作り餃子」を頼んでしまった。これは麺が2.5玉も入っているという超大盛りのラーメンであり、小食で大盛りを頼むことすら稀な自分にとっては、当然ながら初めての経験であった。注文した時点で「ちょっとこれはしくじったかな」と思ったのだが、15分後に運ばれてきたラーメンを目にして、それは確信に変わった。とにかく巨大だった。器は洗面器くらいのサイズで、麺だけでなく、麺の上に盛られた野菜の量もかなりのボリュームだった。いくら空腹でも、自分の胃袋の容量を考えたらこれはあまりに多すぎた。その上に、餃子まで付けてしまっている。でも、頼んでしまったからには食べない訳にはいかない。「ええい、ままよ!」と意を決して、第3のチャレンジがスタート。そして、25分後。限界に達し、箸を置いた。結果、麺と餃子は食べきった。だが、野菜は食べきれなかった。半分はクリアしたといえるが、完食とは行かなかった。ラーメンの味は、とても自分好みでおいしかったと思う。ただ、1玉を超えた辺りから、味わっている余裕はなくなったし、徐々に麺がのびてしまってそれに追い打ちをかけた。自分には無茶な挑戦だったことが、かくして証明されたのだった。




↑「あと半分」という文字が見えた時には、もう限界だった。


その後は、13時頃から、坊ヶ池湖畔にある星のふるさと館で過ごした。1920年9月に、この近くに隕石が落ちたことにちなんで作られた、宇宙について親しみながら学べる学習・観測施設である。ふとしたことで無料入館券を入手したので、使わなければ損と思って来たのだが、中に入るのは子どもの時以来で本当に久々だった。館内のパネル等の展示資料は、宇宙好きの自分にとってはよく知っている、ごくごく基本的な内容ばかりでちょっと物足りなかった(子ども向けの学習施設なのだから当然だ)が、屋上の天体観測ドームを開いて望遠鏡で太陽の黒点を見せてもらうことができたのには、結構ワクワクした。プロミネンスが吹きあがっているのも確認できた。知識として知るのと、実際に見るのとでは、やはり後者の感動のほうがずっと大きいものだ。太陽を観測した後は、プラネタリウムも観賞した。これもおそらく子どもの時以来だったと思う。上映されたのは、「夏の夜空」と宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」。銀河鉄道の夜のことは、ほとんど名前しか知らなかったが、映像を見てどういうお話だったのかを知ることが出来た。「銀河鉄道999」のように宇宙空間を舞台にした物語だとばかり思っていたが、実際には星空をモチーフにした異次元世界での物語だった。劇中で流れた「あかいめだまの さそり」という歌詞で始まる「星めぐりの歌」(宮沢賢治 作詞・作曲)も印象的で、しんみりした気分になった。短時間だったが、しばし現実のことを忘れて幻想的な世界に浸ることが出来た。プラネタリウムを観終えると、そのまま館外に出た。



ふるさと館を出たのは14時40分。目的も達したので、帰途に就くことにした。来たのとは別の道で山を下ると喉が渇いたので、途中のコンビニでアイスを食べて一休み。そして15時半ころに帰宅し、ほぼ1日かけたサイクリングはようやく終了。メインのコースとしては、山の中を走って43kmを1周したことになった。


サイクリング大会のような「お祭り」も楽しいが、自分はどちらかというと一人で気ままに走るのほうが好きだ。天気のいい休日には、気軽に「山登り」に行けるように、この秋は週末の予定をなるべく空けておきたいと思う。

(120分)