シン・職場百考(4)~無冷房職場

暑い。今年の夏はとにかく暑い。日中の炎天下に立つと、まるでドライヤーの風を受けているかのようだ。あまりの「熱」でアパートのネット接続の機器が故障し、交換するまで3日間ネットが使えなくなるトラブルも起きた。7月下旬から今日までの3週間、ほとんど毎日「熱中症警戒アラート」が発表され、「不要不急の外出はできるだけ避ける」「屋内でもこまめに水分補給する」「冷房を適切に使用する」ことが至る場面で呪文のように繰り返し注意喚起されている。だが、仕事に出かけないわけには行かないし、自分の仕事の性質上、草刈りや森の中の点検などの屋外作業も不可避だ。やむを得ず、熱中症のリスクを抱えつつも、長袖長ズボンの作業着に長靴を履き、滝のような汗をかいて、灼熱の炎天下に身をさらして働いている。最近聞くようになった「地球温暖化ではなく地球沸騰化」という言葉も、むべなるかな、と実感する。しかし、外が暑いのは当然としても、もっと問題なのは職場の事務室も相当暑いということだ。なんといっても、館内には一切の冷房がない。だから、外が猛暑日なら、事務室内も32℃近くまで室温が上がる。イスに座っているだけで汗がにじむし、少し移動するだけで、汗がしたたり落ちてくる。そして、屋外作業が終わっても涼むことすらできない。冷房がないことで、身体面でもモチベーション面でも、働くのが非常にしんどい状況を招いている。常に体が汗でベタベタして不快極まりないし、外の作業で帽子をかぶれば頭髪も乱れるから、もはや身だしなみもへったくれもあったものではない。10年来使っているUSB扇風機で辛うじて涼を取っているが、所詮は気休めだ。労働環境としては、相当厳しいものがあると言わざるを得ない。過酷な環境が続いて体力も気力も低下し、体重は過去10年でもっとも少ない56kg台まで減っている。今年の2月からの減少量は約6kg、半年で体重の1割を失ったことになる。自分はどちらかというと冷房は好きではない(快適すぎる環境は人間をダメにすると思う)し、使わなくてよいならそれに越したことはないと思っているが、そんな自分にとってさえも、この熱波の中で職場に冷房がないのは、あまりにも耐えがたいと感じる。

 

冷房のない宿泊棟で寝苦しい夜を過ごす利用者からも、「事務室くらいは冷房があっていいのでは」と同情されるが、財政難の折、エアコンを新たに設置する計画は今のところないようだ。暑さを凌ぐために冷房をかけ、冷房のために化石燃料を燃やして発電し、それによって生じた二酸化炭素や廃熱でさらに温暖化が進んで「地球沸騰化」する・・・という悪循環に陥ってしまっているとすれば、省エネ・節電の努力も何だか空しく感じてしまう。立秋を過ぎてもまだまだ猛暑が続いているが、一刻も早く暑さが収まり、この状況が改善されることを願うばかりだ。

 

※1年以上が経ち、もはや「新職場」ではなくなったが、出向先について思うところはまだまだあるので、タイトルを「シン・職場」に変更して、このシリーズを継続することにする。シンには「真」「深」「辛」などの意味を込めた。

 

(60分)