盆前日

うちの職場では、明日13日(水)から15日(金)までが、夏季一斉休業日となっている。いわゆる、お盆休みである。一斉休業前日の今日は、どことなく気の抜けた雰囲気が漂っていた。休暇を取っていた人も多く、10人弱いる自分の部署では、部長と課長を含む3人が休みだった。課長がいないということは、原議書を回しても決裁が取れず、業務が処理出来ないということを意味する。それならば今わざわざ起案する必要もない・・・とみな思ったのだろうか、今日は原議書がほとんど回ってこなかった。自分も今日は何も起案しなかったが、かといって暇だったかというとそんなことはなかった。何をしていたかというと、ある委員会に提出する「報告書」の案や各種資料等を作っていたのだった。


自分は今、来年4月から本学に新しく創設する予定のとある研修制度について議論するワーキンググループ(WG)の事務局を担当している。WGメンバーは大学の教員で、上司である係長と自分の二人が事務局という構成だ。当初は、上司が資料作りや連絡調整など中心となる作業を担っていて、自分は資料の印刷や会場準備等の補佐的な作業をするくらいの立場だったため、割と気楽に構えていた。だが、上司が様々な仕事を抱えて首が回らない状態になるに連れ、段々と自分がWGの事務を中心的に担当するようになってきたことで、WGの運営に対する負担と責任は重いものになっていった。そもそも自分はこれまで、WGや委員会の事務局の主担当などやったことがなかった。それにも関わらず、WGの検討テーマが手本もない全く新しい制度をゼロから議論していくというものだったので、非常に戸惑った。前例もなければ明確なゴールも見えない中で、いかにして報告書という形にまとめていけばよいのか。助走もなくいきなり高いハードルを課せられたような状態だった。WGでは、今月中に議論を終了し、出された意見を報告書という形に整理・集約して、上位の委員会に「最終報告書」を提出するというスケジュールになっているので、もはや時間はない。議論は大詰めに、報告書作りも佳境に突入しなければいけない段階である。つい昨日WGをやったばかりだが、来週の木曜日にはもう次のWGを開催することになっている。一斉休業が終わればすぐに開催日が来てしまう。悠長に構えていられる時間は全くない。そのため、今日は1日報告書案と資料作りをしていたというわけである。


WGを担当するようになって、会議が有意義なものになるかどうかは、発言者である委員ではなく裏方である事務局の腕次第ということが分かった。WGでは、各委員が自分の考えた意見をあれこれ発言するのだが、それを報告書にまとめるためには、整合性を図るためにそれぞれの意見を尊重しつつも、うまく加工して繋ぎ合わせていかなければならないのだ。様々なベクトルを一つの方向に集約するのは、繊細な作業が求められる。また、想定される様々なケースへの対策(例外規定等)も予めある程度織り込んでおかなければならない。制度の穴を埋めるために、想像力を働かせて、報告書の内容を肉付けしていくような作業も事務局の仕事である。それから、「進行メモ」というWGの議長が使う会議の発言と段取りを書いた資料も、前々回のWGから自分が作っている。これは、1時間半のWGの中でどういう議論をしてもらうかという流れをイメージして作るもので、これを用意した人が会議における主導権を持っているといっても過言ではない重要なものなのだが、自分が作ると全然その通りに進まず、意図していなかった部分で議論が起こってしまって、そこに多くの時間が取られてしまっているのが現実だ。全てが手探りなので、どれもこれも非常に難しく、一筋縄ではいかない。できるだけ完成度の高い報告書にしたいと思いつつも、タイムリミットがある中であまり時間をかけてもいられないというジレンマもある。自分がこんなことをやって本当にいいのかと不安になるが、上司がもはや「お前に任せた」という態度なので、自分がやるしかない。そうして、一応現段階での資料を作り終えたのが、19時半ごろ。すでに、課内は自分以外誰もいなくなっていた。いつも帰りが遅いうちの課も、昨日今日ばかりは定時を過ぎるとさーっとみんな帰って行った。そんな中でいつまでも一人居残るのも嫌だったし、資料をチェックしてくれる上司ももう帰ってしまったので、完成した資料をWGの議長にメールで送って確認を依頼すると、自分もさっさと帰ることにした。そして、20時過ぎに退勤した。一応宿題を片付けてから休みに入った格好になるが、来週の負担も重いので、気持ちはあまりすっきりしたものではなかった。


お盆休みは、土日も含めると明日から5日間ということになるが、3泊4日の旅行の予定が入っているので、例年のようにゆっくりしてはいられない。休養のため、せめて夜の睡眠だけは十分に取るようにしたいものだが、今夜の記事の投稿時刻がこれでは、先行きは明るくなさそうだ。

(75分)