富山黒部ダム観光旅行

7月12日、13日と、土日を利用して一泊二日で富山県に旅行して来た。今回は、友人のY氏とK氏に声を掛け、一緒に「「観光放水」中の黒部ダム」を見に行くというのが目的だった。彼らと会うのは今年3月以来、4カ月ぶりで、富山を訪れるのは約2年ぶりだった。


12日の朝、8時45分。自分はJR魚津駅に降り立った。今回は上越から魚津までの往復の移動手段に電車を利用した。車で行く方が早いが、行き帰りの疲労や車の置き場所のことを考えて電車にした。この日は、梅雨時らしからぬ雲一つないような澄み切った青空が広がっていた。いわゆる、台風一過の晴天である。改札をくぐって外に出ると、目の前に黒い車が待っていた。Y氏が迎えに来てくれていたのだ。助手席にはすでにK氏が座っていた。乗り込むと早速、車は走り出した。


といっても、黒部ダムには、直接車で行くことは出来ない。立山連峰の麓にある「立山駅」まで車(または鉄道)で行き、そこから、ケーブルカー、高原バス、トロリーバス、ロープウェー、再びケーブルカーと、乗り物を5つも乗り継いで、やっと到達することが出来る。ダムはそれほどまでに、山の奥深いところに存在しているのである。近況等について会話を弾ませつつ、Y氏の割とワイルドな運転に揺られること1時間、立山駅に到着した。ここから先は、有料の交通機関を使わなければならない。立山駅から黒部ダムまでの往復の乗車券は10,790円。滅多に行けるところではないので、これくらいの価格は妥当だろう。それに、ダムまでの道中から見える眺めもお楽しみの一つなので、単なる通行料というわけでもない。


9時50分、立山駅発のケーブルカーに乗車。乗り継ぎを経て、黒部ダムの玄関口である「黒部湖」に着いたのは、2時間後の12時5分だった。薄暗いトンネルを抜けて外に出ると、そこはダムの堤の上。右手にはダム湖が広がっていた。はやる気持ちを抑えきれず、つい速足気味になる。100mほど前方に進むと、ダムの正面が見下ろせる位置にたどり着いた。欄干に寄りかかって、下を覗き込むと、盛大に放水しているダムの姿が目に飛び込んできた。毎秒3トンもの水が、霧状に放水されている様は圧巻だった。それでいて、虹がかかっていて美しくもあった。聴こえてくる放水音は「ごー」という感じで、予想外に静かだったが、それは堤上が放水口よりずっと高いところにあるからであって、おそらく近くに行けば耳をつんざくような轟音が響いているに違いなかった。この時点ですでに興奮状態だったが、堤から階段を280段登った高さにある展望台からダム全体を見渡してみて、興奮は感激に変わった。ここから見えた景色は、今までに写真等で見てきたのとまさに同じものだった。ウイング状の優美なアーチ構造をしたダムのあまりにも巨大な存在感と、ダイナミックな放水、そして2億トンもの水を静かにたたえるダム湖。さらには、見事な青空までついてきたのだから、これ以上のものは望めまい。念願だった黒部ダム観光が、最高の条件で実現したことに、自分はもう大満足だった。展望台から思い描いていたとおりの写真が撮れたので、さほどパシャパシャと撮りまくる必要もなかった。一度来たことがあるというY氏とK氏でさえも、自分同様に楽しんでいる様子だった。ダムでは、昼食として「黒部ダムカレー」(ライスが堤状に固められたグリーンカレー)をレストランで食し、おみやげを買って、3人で記念写真を撮った。2時間ほど滞在して、ダムを満喫し、一休みも済ませたところで、来たのと同じルートを引き返した。





16時14分、車で立山駅を出発。山を降りると、まずスーパー銭湯に行った。ここで温泉に入って、リラックス。次に、魚津駅前の寿司屋で夕食にした。Y氏が予約しておいてくれた店だった。今回の旅の計画や調整は、ほとんどY氏がやってくれたのだった。彼が選んだ店だけあって、そこは実にいい感じの店だった。こじんまりとしていつつも、そこそこ活気があって、落ち着ける雰囲気だったし、コースで出てきた魚料理も美味かった。ビールの後に頼んだ日本酒をくいっと口に含んで食べると、更に味が引き立つ感じがした。立山大自然黒部ダム、それに富山の海の幸と地酒、それらを気の置けない友人たちとともに楽しむことが出来るなんて、なんて贅沢で愉快なことだろう。富山に来てよかった。今日は実に素晴らしい日じゃないか、と自分はとにかく大満足だった。それは二人も同じだったようで、Y氏も「今日はいい日だ。いつ死んでもいいくらいだ」としきりに口にしていた。自分も全く同感だった。日本酒を飲み交わしてほどよい気分になったところで、店を出た。この日は、Y氏の実家に泊めてもらった。


2日目、13日は、朝から雨だった。ダムに行ったのが昨日だったのは、まさに幸運だったと朝からまたしても感激していた。寝床を提供してもらったのみならず、朝食までごちそうになるなど、手厚いおもてなしをしていただいたご家族にお礼を述べから、9時ごろにY氏宅を車で出発。この日はまず、射水市の富山新港に架かる「新港大橋」に向かった。過去2回訪れたものの建設中で未開通だったため、下から見上げることしかできなかったこの橋が、2012年9月にようやく開通したということで、今回の旅ではぜひこの橋を車で通行してみたいと思っていた。Y氏宅のある魚津市から約1時間で到着。トライアスロンを開催中とかで通行規制がかかっていたので、最初は通れないのかとあきらめそうになったが、結果的に通行することが出来た。幸運だった。今回は何かとツイているのだ。橋の上からは、日本海射水の街並みとを左右両方に見渡すことが出来て、実に爽快な眺めが楽しめた。通過するのに3分もかからなかったと思うが、自分には「通行出来た」という事実、ただそれだけで十分満足だった。次に向かったのは、富山市内にある「富岩運河環水公園」だった。美しい水辺に佇むスタバで休憩しつつ、富山駅を発車する帰りの電車の時間を待った。前夜の飲み会ではノリノリの絶好調だった3人も、2日間の疲れからか、さすがに言葉少なだった。でも、静かにゆったりと流れる時間も、日々「何かしなくちゃ」と思って動いている自分にとっては、貴重なひとときだった。スタバを出て、最後に少し公園を散策した。雨はほとんど止んでいたからだ。「これも計算のうちだったのか」とY氏の策士っぷりを冗談交じりに称賛。公園を出発し、いよいよ富山駅へ。車の窓から街並みを見て、富山はいい街だな、住んでみたいなぁと本気で思った。12時5分、富山駅前着。ここで、二人に感謝と別れの挨拶を告げて、車を降りた。また富山に来るよ、と最後に伝えた。もちろん、彼らが上越に来てくれるのも大歓迎だが、いずれにしても、この付き合いをずっと続けて行きたいというのが自分の偽りなき思いだった。ここで旅は終わり、12時15分発の普通電車で、自分は帰途に着いた。



↑今回のお土産。水ようかんは、家と職場用。


この土日も2日間をほぼフルに使って、外出を楽しんできた。長年の念願がまた一つかなったことと、友人に会えたことで、2日間、すごく満喫したなぁという充実感に、今は包まれている。次の週末も、半分個人的で半分仕事の予定がすでに入っているので、ブログ記事のネタには困りそうにない。


(※今回の写真は、フォトライフの「富山黒部ダム観光」フォルダに保存した。)


(140分)