ガチャック

「これ、どうやって使うんだろう?」と長年疑問を感じていたクリップの謎が、今日の仕事中に解けた。この「ガチャック」という文房具を使って、綴じるのが答えだった。そして、クリップは「ガチャ玉」というのが正式名称だった。

Wikipedia−ガチャック

これまで、たまにガチャ玉で綴じられた書類を見ることがあったが、これを外すのは問題ないが、綴じるのにどうすればいいかが分からず、気になっていた。ダブルクリップのようにつまみがついていないから、留め口の部分が開かないし、口が閉じたまま書類を無理やりねじ込もうとしても、厚さ的にせいぜい数枚しか通せない。元は口が開いていた状態だったものを、紙を挟んだ後に力を加えて閉じたのだろうか・・・などと想像を働かせたこともあったが、見かける頻度は少なかったし、使う必要に迫られる場面もなかったので、特に深く考えず、外したガチャ玉は机の引き出しに放り込んでいた。それが変わることになったきっかけは、上司から「これを使って書類を20部組んでくれ」とガチャ玉の使用を指示されたことだった。やば、これどうやって使うんだ、と自分は困惑した。ほかの人に訊けば済むことだったが、その使い方はおそらくあまりにも初歩的なことであろうと思われたので、恥ずかしさからそうも出来ず、一人で試行錯誤に打って出た。最初は、爪をねじ込んで無理矢理にガチャ玉の口を開けて書類を綴じようとした。しかし、どうにもうまく行かなかったし、紙に傷がついてしまったので断念した。参った、と思ってガチャ玉をまじまじと見つめると「OHTO GACHUCK」という文字が刻印されているのに気が付いた。この単語をウェブ検索してみたことで、上述の「発見」に至った。もしかしてと思ってガチャ玉が置いてあった文房具箱の中をよく見てみると、同じ箱の中にガチャック本体も置いてあり、「これか!」と手に取り、勇んで机に戻った。説明書の類いはなかったが、本体の一端から玉を装填してレバーを押しこむと、もう片方の端でガチャ玉を使って書類を綴じることが出来るという仕掛けであることを理解するのにそう時間はかからなかった。使い方を理解してからは、ガチャ玉を本体にたくさん込めて「連射」、書類を綴じる作業はあっという間に終了したのだった。こんな画期的な道具(1980年発売)を今まで知らなかったなんて、事務の能率上大変な損失だったかもしれない。些細なことではあるが、一つ賢くなれたのでよかったと思った。


自分は文房具が好きだが、それでも文房具について知らないことはまだまだあるに違いない。文房具の世界は、どこまでも続く深い森のようなものだ。色んな便利な道具がきっとまだまだ隠れていることだろう。森の中に足を踏み入れて、新たな文房具を知ることが出来れば、喜びを感じられるし、仕事の能率や結果の向上にもつながりうる。まさに一石二鳥というものだ。好奇心を持って、もっと探検してみたい、そんな思いを強くしたのだった。

(30分)