自炊システム稼働中

3年がかりで取り組んできた、自宅で書籍・雑誌を断裁してスキャンし、電子化する作業、いわゆる「自炊」のシステムが、先月中旬にようやく稼働し始めた。データをPDF形式でHDDに保存し、原本を処分することが出来た雑誌の数は、この1カ月で30冊に達している。まずまずのペースといったところだが、自分が所有する雑誌の量を考えれば、この先の道のりはまだまだ長く険しい。というのも、2000年以来13年間に渡り講読し続け(10年前半までは自分が、10年以降は弟が購入してきた)、推定400冊以上が自室に現存すると思われる「週刊ファミ通」を全て電子化することが、「自炊」によって達成すべき最終的な目標だからである。そのため、週末に時間を作っては作業に勤しんでいるところだ。今日も夕方から作業をして4冊を処分した。


「自炊」の作業は、ファミ通の場合を例にとると、以下のような流れになる。


①内容を一読する
一度も読んでいない場合もあるし、スキャン後は半永久保管され読む機会がなくなると思うので、スキャン前に目を通しておく。
②付録の小冊子や袋とじ、アンケートはがきを外す
スキャン時に邪魔になるものは除いておく。
③リムーバーを使ってホチキス針を取り除く
断裁機の刃がホチキス針に当たると刃が欠けてしまうため。
④表紙だけを外し、カッターナイフで表表紙と裏表紙に切り分ける
普通に断裁すると表紙の端で文字が切れてしまい、見栄えが悪くなるため。ついでに、本誌に折り込みページがある場合は、A4以下になるようカットする。
⑤表紙以外の本誌を断裁する
雑誌の綴じ部分を断裁して切り離し、取り込み用の原稿を作る。外側に近いページではページ中央寄りの文字が切れてしまうことがあるため、極力原稿が大きく取れるように最適な位置で断裁する必要がある。
⑥ドキュメントスキャナでPCに取り込む
PDF形式で、設定は、両面・カラー・200dpiで、1冊の容量が150MB程度。読めれば十分なので解像度は最低限にしている。取り込み中は紙詰まりや原稿の補充に対応するため、スキャナの前に座って待機する。
⑦外付けHDDに名前を付けて保存する
一定のルールで名前を付け、整理・検索しやすいようにしている。
⑧作成されたPDFの中身をチェックする
ページの斜行、汚れ、袋とじの混入等がないか確認し、それらが認められた場合は作業をやり直す。
⑨スキャナ内部に残った紙くずを掃除する
紙くずがあるとスキャンした画像に線が入ってしまったりする。
⑩取り込みの成功を確認した上で、原稿を廃棄する
ただし当分の間、表紙だけは残しておく。


この一連の流れは、①を除くと、おおむね1冊10分程度で完了する。運用が軌道に乗った今でこそ、比較的スムーズに回せるようになったが、当初は様々な苦労があった。断裁方法や取り込みの設定等については、さまざまなサイトを参考にし、試行錯誤しながら、自分に適した方法を決めて行った。やり方ホチキス針がついたまま断裁しようとしたら針を打ち抜いて刃を傷つけてしまったり(しかも複数回やったため刃の切れ味がすっかり落ちてしまった)、折り込みページに気付かずそのまま取り込みをしたらページが破けたり、原稿を補充する時に表裏を間違えてページ順がずれてしまったりと、散々な目に遭った。ただその反省を生かして、今はテキパキと処理出来るようになってきた。これからは計画的に一定ペースで電子化を進めることが出来るだろう。ここに至るまでにえらく時間がかかってしまったが、「自炊」にはそれだけの手間をかけてでも取り組むべき価値と可能性があると思っている。雑誌の処分が済んだら、いずれ文庫本等の書籍の電子化もやってみたいところだ。



↑自炊設備一式。使っていなかったPC机に道具をまとめ、この一か所で完結するようにした。

↑スキャナーの読み込みはかなり高速である。

↑表紙と本誌とでは、取り込み後のページサイズが異なる。

↑背表紙がのり付けされたタイプの雑誌のほうが作業が簡単である。

↑カットされた背表紙部分。使い道もないので捨てる。背表紙に書かれた情報はさすがに取り込めない。

(75分)