スマホの先

スマホには日常生活において必要性を感じないのだが、「Google Glass」(あるいはそれに相当する製品)がもう少し進化して日本で発売されたら絶対に買うと決めている。スマホはいくら便利だといっても、所詮は携帯電話とPCを融合した、両者の延長戦上の製品でしかない。入力操作にタッチパネルを利用するという点ではニンテンドーDSの次に新しかったが、手元のディスプレイを覗きこんで、そこに表示された情報を読んだり映像を見たり写真を撮ったりするという使用スタイルにおいては、既存の「ハンディデバイス」の域を脱しないという意味で初代ゲームボーイの時代と何ら変わらない。一方で、Google Glassはメガネ型のデバイスであり、現実世界の景色にコンピュータで描写した映像や情報(CG)を重ね合わせて、人間の見る視界そのものを拡張するAR(augmented reality:拡張現実)技術を実現している。いわば、メガネを通して見る視界全てがディスプレイになるのだ。視界の上においては、ディスプレイと現実世界の境目はなくなる。これは極めて画期的で革命的なことだ。同時に、デバイスウェアラブル(装用型)になり両手が解放されるというのも劇的な進歩である。これによって新たに可能となること、やり方や使い方がこれまでと全く変わることというのは本当に枚挙に暇がなく、ここで取り上げるよりはネットで少し検索したほうがずっと分かりやすいので説明は省く。究極的には、アニメ「電脳コイル」のような世界が実現できるのではないかと考えているし、そうなればよくも悪くも社会の姿は大きく変わらざるを得ない。ウェアラブルの次は、いずれ電脳化(コンピュータの脳への直接接続)にも手が届くのであろうが、さすがにそこまではやりたいとは思わないし、技術的に可能になっても倫理的に実現されない可能性が高い。とにかく、「メガネ型情報通信デバイス」の登場と普及によってスマホなど消し飛ぶほどの真の意味でのイノベーションが起こることは間違いない。残念ながら、Google Glassはネット接続するのにスマホを使ってテザリングする必要があるらしく、完成度においてはまだまだ独立した新次元のデバイスとしての存在価値を確立出来る域には達していない。そのため、もう少しだけ、進歩を待つ必要がある。だが、あともう少し待てば、21世紀にふさわしい「未来」が現実のものになるのだ。その未来を自ら体験するまでは、死んでも死にきれない。


(55分、5/6)