夢を信じて

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中学生のとき大好きだったアニメ、「ドラゴンクエスト」。主人公が仲間との出会いと別れを繰り返す中で少しずつ成長しながら、立ちはだかる敵や困難に立ち向かっていく、夢とロマンあふれるまさに王道の冒険物語で、友人から借りたビデオを夢中になって見ていたものだった。06年に発売されたDVD-BOXも、当時予約して購入した。発売されると知った時は、それはそれはうれしかったものだった。


そのアニメで、初期のED曲として流れていたのが、徳永英明の「夢を信じて」だった。そのストレートで前向きな歌詞はアニメ本編の主人公の姿に重なるものだったし、同時に聴く者を勇気づけるメッセージソングでもあった。高校生のころには、ふとしたときにこの曲を口ずさんでいたものだった。そして今聴いても、胸がジーンと熱くなってくる感じがする。やはり、自分の思い出の名曲というのは、時代が変わっても変わらず胸に響くものであるようだ。昭和の歌謡曲ばかりやたらと流す歌番組などを、いつまで昭和を引きずっているんだとあまりバカにするのも考えものかもしれないな。

(15分)


<追記:2016/4/21>
今夜放送されたNHKの音楽番組「SONGS」で、デビュー30周年を迎えた徳永英明が特集され、病気に苦しみつつも、病気とともにこれからも生きていく姿が描かれていた。困難にくじけず、現実と向き合って、今の自分にできることは何かと考えて苦境を乗り越えていく彼の姿勢には、胸に迫るものがあったし、自分も勇気づけられた。番組の最後で、思い入れのある曲として歌われたのが、「夢を信じて」だった。今の自分の弱った心に、懐かしいバラードがすーっとしみ込んでいって、何だか目に涙が込み上げてきた。リリースされた26年前の歌声ももちろん好きだけれど、齢を重ねて深みと優しさが増した今の彼の歌声に乗ってこそ、この曲のメロディとメッセージは一層強く輝き、自分の胸に響く気がした。これから何年、何十年経っても、この曲を聴くたびに、自分は何度でも涙を浮かべることだろう。この曲は自分にとって、人生の一部と言ってもいい、かけがえのない名曲なのである。

(20分)