原発 その2

将来的には、日本は全ての原発の運転を停止し、原子力発電と決別しなければならないだろう。それによって国が自らの行為(あるいは不作為)によって国土を放射性物質で汚染し、国民の生命と財産を脅かし、国際的信用を地に落とすような事態が起こる不安からは、恒久的に解放されることになる。放射線防護や医療利用の目的のため、また真理を追究する学問的な観点から、原子力の研究と技術者の育成は(規模と内容を縮小しつつも)今後も続けられねばならないが、原子力を利用して電気を賄うことは放棄しなければならない。それにより不足する電力は、深夜営業や深夜放送の制限(深夜の電力は出力調整が出来ない原子力によって賄われているため供給過剰になっており、これまでは節電するインセンティブが働かなかった)や夜間電力の割安な料金設定の撤廃による節電や、地熱発電等の再生可能エネルギーの利用によって穴埋めすることになるだろうが、そもそも日本では現在人口の減少が進行しているので、長期的には必要な電力量は自然に逓減していくとも考えられる。日本は産業界も家電製品も省エネ性能が高いからこれ以上電気を減らすのは無理だという意見もあろうが、自分はそうした言説については非常に懐疑的に捉えている。どれだけ1機当たりの効率を高めても、機器数が増えてしまっては結局帳消しになってしまう。効率ではなく、総量で捉えれば、日本は明らかに電気を使い過ぎているのである。宇宙から見ると、輪郭がくっきり浮かび上がるほどに夜間の日本列島が明るく輝いているというのは有名な話だ。真夏の昼間の電力ピーク時への対応には、現状の便利さと快適さを享受することをあきらめさえすれば、それこそいくらでも方策はあるはずだ。ネットを使えばヒートアイランド状態になる東京を離れて北海道や高原地で仕事をすることも不可能な話ではないし、サーバーを寒冷地や高地に置いて冷却に必要な電気を節約するとか、ビジネスパーソンも真夏だけはスーツをやめて浴衣に着替えるとか、常識をとっぱらってしまえばどうにでもなる。夜間電力を値上げし、早朝の電気を安くすれば、夜更かしする人が減って、早寝早起きの生活を送れるようになる人が増えるだろう。そうなったら、自分も今より相当健康になるに違いない。少なくともこれだけは、ぜひ実現してほしいと思う。


日本人が結束する機運が高まっている今こそ、旧態依然とした社会構造や、浪費することに慣れた生活スタイルに、大胆なメスを入れなければならない。

(4/9:65分)