抜歯 その5〜最後の難関〜

先週の土曜だから、10月30日のことだ。最後に残っていた、下あご右の親知らずを抜いたのは。歯医者に行ったのは、午前の診療の一番最後の時間である、11時半。抜いた直後は満足に食事が出来ないことは分かっていたので、予め昼食を食べてから向かった。


最後の親知らずは、まさにラスボスだった。抜くのも手ごわく、抜いた後も一筋縄ではいかなかった。抜く際は、横倒しになった歯に被さった歯肉を切開し、歯の一角をカッターで三角錐状に切り取り、さらに歯の植わっている骨をドリルで削って、顎骨を痛めるんじゃないかというくらいぐーっと力をかけて、やっとこさ抜けた(抜いた歯は血まみれで生々しかったので持ち帰らなかった)。手術自体は痛みはほぼゼロだったものの、抜歯した日は一日血が止まらず不快で、翌朝起きたら枕に敷いたタオルに血の痕が残っていた。抜歯は4回目だが、これは初めてだった。また、抜いた場所が何日たってもじわじわと痛み続け、特に痛み止めの薬が切れた火曜日以降は、仕事中たまに注意がそがれてしまうのみならず、眠る際にも少なからず妨害を加えてきたのだった。これらは、薬が切れるころには痛みは全くなくなっていたこれまでとは、大違いだった。歯肉に縫われた糸が肉を引っ張っているから痛いのかもしれないと思っていたが、今日の夕方、1時間休みを取って歯医者に行って抜糸した後も、相変わらず同じように痛み続けたので、患部が直接痛みを発しているのだと分かった。歯医者に痛みについて話したら、「体が温まって血流が良くなると痛んでくるがある」とのことで、午後や食後に痛みが現れるのに納得したが、こればかりは自分では対処しようがない。かといって薬を処方してもらうほど強い痛みでもない。あくまでじわじわーっという静かな痛みである。これについては、多少気になっても我慢するしかなさそうだ。出来るだけ早く痛みが引いてほしいと思う。


2週間後に患部の経過を確認し、抜歯後満足に歯磨きが出来ていなかったことによる歯垢を落としたら、それで親知らず抜歯の治療は全て終わりとなるとのことだ。この2カ月で、4本の歯が抜かれたわけだが、これからは死ぬまで1本の歯も抜きたくはない。歯の健康を失わないで済むよう、今後はきちんと歯のメンテナンスに最大限の関心と努力を注がなければならないと思っている。

(25分)


<追記>
12日現在では、患部の痛みはすでに全く感じなくなっている。この1週間の間はたまに、ぴくっぴくっという傷のうずきのようなものを感じることがあったが、もうそれもなくなった。穴がふさがるまでにはまだ相当な時間がかかるが、とりあえず感覚としては違和感や痛みのない日常の状態に戻れたのでほっとしている。