割賦

先週末、高3の弟に、このノートPCを買い与えた。



見ておわかりのとおり、ソニーVAIOである。VPCEE26FJ/BIという機種で、OSはWindows7、CPUはAMD Athlon II デュアルコアプロセッサ P320というのを搭載している。どの程度性能がよいのかはよく分からないが、まあデュアルコアだし、そこそこいいのではないかと思う。マウスは付属していなかったので、自分のいらないマウスをおまけでプレゼントしてあげた。


5年保証をつけると9万円近くするこれを買ったのは、弟がこの1カ月ほどの間、家族共用のデスクトップPCを自分の部屋に机ごと引き込んで占有していたことに、自分が我慢ならなかったためである。そのデスクトップは03年3月に高校進学祝いとして自分が家族から買ってもらった、初めての自分専用PCであった。06年3月からは別のノートPCを使い始め、今年6月から使っている現在のノートPCは通算3台目ということになる。このデスクトップは、相当古くて性能も低く、本来なら自分にとっては不要な代物であるはずである。それゆえ自分の部屋の外に置かれ、家族共用PCという扱いになっていた。しかし、このPCには一つだけ他のPCにはない大きな強みがあった。それは、OSがWindowsXPだということである。現在の最新のOSはWindows7であり、量販店の店頭に売られているPCはおよそ全てにこの7がインストールされている。自分が今使っているPCも、7である。しかし、自分がこれまでXPで使っていたソフトウェアの中には、7では動かせないものというのもあり、依然としてXPのPCが必要とされている。そのため、この古いデスクトップをときたま使う必要があり、弟にこれを自分の部屋で占有させるわけにはいかなかったのである。また狭い部屋にでかいPC机を引き込んでいるのが、見ていて邪魔くさかったというのも、わざわざノートPCを与えた理由の一つでもある。最初はアスースとかレノボとかいった、アジアメーカーの安(っぽ)い製品を選ぶつもりだったが、せっかくだから大学進学後も最低4年間は使えるものがいいだろうと思ったので、デザインや信頼性を重視して、日本メーカーの製品を選ぶことにした。VAIOにしたのは、理系の人が使ってそうなイメージだから。弟は自分と違い、理系なのである。VAIOが理系っぽいというイメージの根拠は特にない。自分の単なる偏見である。弟は自分の部屋にデスクトップを引き込んだ際、塾の勉強(授業の映像を見たり、クリックして問題を解いたり)のために使うという大義名分を立てていたが、自分が観察していた限りでは、勉強よりもニコ動やYouTubeを見るのに使っていることのほうが多かったので、どうせほとんど娯楽のために使うのが最大の目的であり実際の用途であったに違いない。新しいPCでもきっと今まで以上にそうしたことに熱心になることだろう。しかし弟は意外にも模試の成績がずい分よいらしく、家では勉強するそぶりを少しも見せないにも関わらず、家族からはそれほど文句をつけられていない。自分が弟専用のPCを与えることは、多機能のゲーム機を与えるようなものだから、この時期にそういうことをするのには懸念の声が上がるかと思われたが、実際そんなことは起きていない。理数科目の出来が非常に悪く、勉強しろ勉強しろとしつこく文句を言われていた、自分の大学受験のときとは大違いである。弟は模試の判定がいい割に、志望校の高望みもしていないので、まあしくじらなければ大丈夫だろうという感じて受験の見通しについては割と楽観視されていて、今のところは家の中では受験に対する危機感や緊張感のようなものは微塵も漂っていない。これはこれで異様であるが、まああと3ヵ月もすれば、それなりにそれらしい雰囲気になってくるのではないかと思う。ただ例え最後までそうした状態にならなかったとしても、何の問題もありはしないのだが。


で、VAIOと引き換えにデスクトップを弟の部屋から取り戻した自分が何をしたかというと、以下のソフトウェアをインストールしたのだった。



これは携快電話というやつで、ケータイからアドレスやメールのデータを吸いとってPCで保存・管理しておくためのものである。自分は万一のケータイの破損や紛失に備えて、ケータイを持ち始めた03年当初からこのソフトを使っている。そのため、過去5年間くらいなら、送受信したメールを大体保存してあるし、見ようと思えばいつでも見ることができる。3台目のPCを買った時も、このソフトの最新版を購入してインストールした。しかしいざ使おうとしたところ、この最新版のソフトでは旧来のバージョンで保存したデータとの互換性がなく、それまでに蓄積したデータが読み込めないという大変な事実が明らかになった。しかも、Windows7では、自分のケータイ(F902i)を接続するためのドライバが提供されておらず、ケータイとPCをつないでデータをやりとりすることも出来ないことも判明した。これでは何の意味もない、やっぱり旧来のソフトが問題なく使えるXPでないとダメだということで、XPの入ったデスクトップが再び日の目をみることとなったのである。ソフトのCD-ROMはすでに手元になかったので、ネットオークションで改めて購入した。幸い7にもこのソフトはインストールでき、ケータイからのデータ読み込みこそ出来ないものの、既存のデータの閲覧は可能ということが分かったので、今後はXPでケータイからデータを吸いとり、7で閲覧・保管するという使い方をしていくことになった。ケータイのデータバックアップのプロセスが7に完全に移行するのは、Windows7に対応したドライバが提供されている新しいケータイを買った時ということになるだろう。やたら細かくて分かりづらい話だが、以上が自分がXPのPCを必要とする理由である。


で、弟に与えたPCなのだが、当初は無償で譲渡するつもりだったものの、ソニー製にしたことで予想より高くついてしまい、負担が相当重くなったことから、財政事情を鑑みて有償になり、PCを先に渡してあとで弟に代金を払わせることに変更された。要は割賦販売と同じである(頭金はないが)。そのため、今は自分に所有権を留保したまま弟に貸与しているような状態となっている。代金は分割払いで、弟が進学後に少しずつ支払っていくということで、弟とも合意した。ただ所有権は代金の支払いの完了をもって、弟に完全に移転する。口約束ではなんとなく不安だったので、ネットで割賦払いの売買契約書の例文を探して、それを参考にしてわざわざ契約書を自作。少々大げさだが、それに2人で署名・押印して、確かに払うという意思を書面で明らかにした。これを縛りに、弟がちゃんと支払ってくれることを期待したい。


ということで、Windows7とXPを両方使っているという話であった。今のケータイの使用年数がもう間もなく丸4年に達するので、そろそろ後継機種の選定を考えたほうがよいだろう。でも別に最新機種は必要ないので、3年くらい前に発売された相当型落ちの機種を、ヤフオクで安く買うことにしようかと思う。まあそれはまた今度の話ということで。

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