引越しの教訓

ちょっと時間がたってしまったが、先々週のアパートから実家への引越しを通じて感じた、「こうすべきだった」と思った点、教訓を挙げてみたい。


①紙テープより布テープの方が便利である
段ボールの封や、梱包、ものの固定などのためにテープは必須だ。自分は部屋にあった紙のガムテープを使ったのだが、これは千切るときに直線状に破きにくく、はがすとき跡が残りやすく、何よりテープの上にテープを張った場合きちんとくっつかないので不便を強いられた。布テープの方がずっと便利だと感じた。


②輪ゴムとビニール紐を用意すべし
電気製品のコードを束ねたり、同じ種類のもの同士をまとめたりする際に、輪ゴムやビニール紐は非常に重宝する。よくヘッドホンのコードを音楽プレーヤーに巻きつける光景などを目にするが、ああいったやりかたは断線を招きやすいので、購入時の状態のようにきちんとコード単体で束ねるのが適切な方法である。


③燃やせないゴミの処分は一ヶ月前から考えておくべし
引越しの準備をしていて困ったのは、燃えるゴミには出せない金属やガラスといったゴミの多さだった。燃えるゴミは週3回出せるから引越し間際にまとめて出しても構わないが、そういった不燃ゴミは収集頻度が低く、月1回か2回しか収集されない。従って引越し時の荷物を減らすためには、最低でも一ヶ月前には収集日を意識しておき、その日に必ずゴミを出し、それ以降はそうしたゴミが出るものは買うことのないようにする必要がある。自分の場合は、多くのゴミを持ち帰らざるを得なくなり、不便を被った。


④パソコンのデータはバックアップを取っておくべし
4年間パソコンを使っていると、ハードウェア的にはそろそろいつ壊れてもおかしくない状態になってきている。特にHDDはちょっとした衝撃でも壊れてしまいかねない。従って、長距離を運搬する引越しの前には、万が一の破損に備えて重要なデータをDVDやUSBメモリといった耐衝撃性の強いメディアにバックアップしておくことが望ましい。外付けHDDではあまり安心とはいえないだろう。自分は荷物をトラックに預け、実家でそれを受け取るまで何度となく「トラックが事故って写真や音楽のデータが消えたらどうしよう」と考えてしまい、気が気でなかった。パソコン及びバックアップメディアをトラックではなく自家用車に積めばより安心である。


⑤電子機器の元箱は取っておくべし
機械文明が進んだ現代においては、単身世帯といえども多くの精密電子機器が所有されている。その中でもパソコン、プリンタ、テレビなどといった大型の電子機器は、特に衝撃に対してデリケートであり、運搬の際には衝撃を避けるために細心の注意を必要とする。そのための最も簡易で確実な方法は「元箱に納める」ことである。これらの元箱は大きく、場所を取るため、保管するのは中々難しいことではあるが、発泡スチロールといった緩衝材を含め、出来るだけ購入時の元箱を取っておくことが望ましい。


⑥梱包した箱に中身の種類を書いておくべし
引越しの前には多くの荷物を段ボール箱などに詰める必要がある。同じ種類のものが部屋の一箇所にきちんと整理されているとは限らないので、つい無作為に放り込んでしまいがちであるが、開封時の整理の手間を省くことを考えて、なるべく1つの箱には同じ種類のものを詰めるようにすることが望ましい。そしてこの場合は、箱の外に中身が何であるかを簡単にメモしておくと、一層便利である。壊れやすいものは梱包時に新聞やエアパッキンを用いるのがセオリーであるが、加えて中身が何であるかを示しておけば、運搬の際の注意を促す効果も期待できる。軽重を示しておくことも、その後の利便性の向上につながる。


⑦全て自分で梱包すべし
上の⑥とも関連することであるが、どの箱に何が入っているかが分かることが、引越し終了後の荷物整理の段階での効率アップに大きく貢献するため、梱包を全て自分で行い、中身が整理された状態を作り出すことが重要である。また4年間も1つの部屋を使っていると、気付かないところに思いがけないものが存在していることも珍しくない。忘れていたものを他人に見つけられ、意図せず自分の内面に関わる部分を露呈してしまう危険を避けるためにも、梱包や部屋の整理は自分で全て行い、家族に手伝ってもらう場合はその範囲を掃除や運搬に限定することが望ましいのではないかと思われる。


⑧荷の展開をイメージしておくべし
トラックに荷物を積み終えても、これで一息つけると思うのはまだ早い。荷物を積み下ろす作業と、それを運搬先で展開し整理する作業が残っているからである。そして運搬前の作業より、運搬後の作業のほうが大変であることもありえる。なぜなら前者は一定の秩序を持っていた部屋をバラバラに解体する一種の「破壊」的行為であるのに対し、後者は解体されたものを新たに再構築する「創造」的行為であるからである。一般に破壊は創造より容易い。こうした破壊と創造の間にあるギャップを小さくするために役立つのが、予め創造の準備をしておくこと、すなわち「荷物を展開し整理するときのイメージをしておく」ことである。アパートを引き揚げて実家に帰る場合、それまで家には存在しなかった、存在せずとも困らなかったものがいきなりまとめてドスンと現れることになるため、多かれ少なかれそれらの置き場をどうするかという問題が生じる。中身を種類別に梱包しておき、これはこの部屋のここに、それは車庫の隙間に、あれはハードオフで売却にと扱いを決めておけば、家に帰った後混乱することもなく、ずっとスムーズに整理が進むことになる。とりあえず荷物をまとめておく場所を用意しておいたり、実家の自分の部屋を予め整理しておくなどの準備があるかないかというのも、結果的に作業量において少なからぬ差を生むものである。


引越し直後に感じたことをしばらく寝かしてみたが、およそ考え付いたのは以上で全てである。今回の「教訓」は、一人暮らしをやめて実家に帰る場合におけるのものなので、その他の引越しには適用できないものや、必ずしも一般化できない自分限定のものもあるだろうが、後々自分が再び引っ越すときがあるとすれば有用であることは間違いない。最近、色んな本でやたらと「人生を成功させるにはPDCAサイクルが重要、PDCAサイクルの実現が人生を豊かにする」といった主張を目にするような気がするが、要するに「計画し、準備して実行し、反省して次回に経験を生かす」という普遍的な行為の重要性を説いているということなので、それは確かにそうだろう。何事もそつなくこなせるほど器用なタイプではないので、失敗から学びバネにする方式で人生をうまく先に進めていければいいな、と思っている。


あ、そうそう、あともう1点それとは別の話がある。引越しの前(昨年10月)から少しずつアパートのモノの数を数えていたのだが、どうやら合計1200〜1400点ほどあったようだ。これは紙やディスクをファイル単位で数え、食品などの消耗品を除いての数値であり、またある一時点におけるモノの総数ではなく、約半年間に段階的にモノを減らしていく中で「部屋から出た」モノをカウントしたものである。値に大きな幅があるのは、引越し後まとめて数えようと思っていたところ、家の中でモノが拡散してしまったり、リストに追加したものとまだのものの区別がつかなくなったり、途中で面倒くさくなったりしたことが理由である。特に3つ目の影響が大きい。1100個目まで数えたところでもはやいかんともしがたくなり、今日になって数えるのをやめてしまった。服や記録ノート類などが正しくカウントされていないことと、何を1個と見なすかの基準が必ずしも明確ではないことから、随分幅のある数値とせざるを得なかった。気力があったらまた改めて数えることもあるかもしれないが・・・いやないな。いい加減諦めないと、モノの自由な整理が出来ないから、もう諦めたことにしよう。以上で今回の記事は終わりとする。

(105分)


<3/25 追記>
やっぱり妥協し切れなかったので、今日改めてペン一本、タオル一枚に至るまで少し精密に数えてみたところ、1370〜1470点程度であろうというところまで数を絞り込むことが出来た。家の中でモノが拡散したから、これ以上の数値の限定はもはや不可能だ。よってアパートにあったモノの数は1420点前後(1420±50点)という結論をもって、この問題に終止符を打つこととする。以上。