28

今日は自分の28才の誕生日だった。人間としてははなだだ未熟なのに、年齢だけはすっかり「いい大人」に数えられる域になってしまった。これくらいになると、「自分の年齢をすぐに思い出せない」という経験をして、「基本的に平成と同じ」という物差しで思い出すことが次第に多くなってくる。そして、人生は残り何年だろうか、何分の一のところなんだろうかと考えて、そこはかとない虚しさを覚えることもままある。


こんな日でも残業はなくならなくて、今夜は23時前まで仕事をしていた。どうせ早くは帰れまいと元々諦めてはいたが、世知辛い世の中だと思う。同僚が19時までにはほぼ帰ってしまうのとは対称的に、自分の担当は来年6月末までずっとこの繁忙期が続く。その後だって決して楽になる訳ではない。経験年数が増えるに連れて、仕事の範囲が拡大し、求められるレベルも高くなり、結果に対する責任も重くなっていくから、それに応えなければならない。それは分かっている。ただ、知識やスキルを向上させるための時間がほとんど取れていないから能率も上がらないし、同じ給料なのに業務量の差が極端に大きいことを一旦意識してしまうと、不公平感でメンタルヘルスが悪化するリスクが急激に高まる。みんな平等に帰りが遅いブラック企業ならある意味でまだ納得がいくのだが、ピンポイントにブラックだと、その代償がないことに納得できない。「定時帰り」を夢見ながら、平均睡眠時間5時間台の睡眠不足な日々は続いていく。


時間が時間なので家に帰ってケーキを食べる余裕はなかったが、酒くらいは飲みたいと思って、23時半からの夕飯の際にとっておきのサッポロクラシック350ml缶を一本空けた。そうしているうちに今日はあっけなく終わった。


来年の今頃は、定時後に家でのんびりしている余裕が、週に1日でいいから、あってほしいものだ。そしてその日は、あれが片付いていない、これもまだやっていないという仕事の呪縛から自由でありたいものだ。そんな日常は遥か遠く、夢のまた夢なのであるが。

(30分)