感電中

お盆休みが終わって早一週間。ギラギラと照りつけていた太陽も心を入れ替えたかのように大人しくなり、曇りがちで涼しく過ごしやすい季節になってきた。「夏の終わり」という言葉がふと頭の中に浮かんで、何だか無性にもの悲しい気分になるのは、この時期の恒例行事みたいなものである。


こんなとき、自分はついつい「真夏のピークが去った―」というフレーズで始まるあの名曲を口ずさんでしまうのだが、今年はそれに肩を並べるくらいに、この曲が自分の音楽シーンを席巻している。



竹内電気の「sexy sexy」という曲である。Y氏からこの曲のPVを紹介されて竹内電気のことを初めて知ったのが、フジファブリックを知ったのとほぼ同時期の2009年春のこと。そのちょうど1年後の2010年春にアルバムを聴いたのをきっかけにその魅力にハマって、解散してしまった今でも、定期的に聴いているお気に入りのアーティストである。ツインボーカルだということに気付いたのは、おバカなことに、聴き始めてずい分経ってからのことだったと記憶している。初めてPVを見た人は、オシャレでキャッチーなメロディと、それを楽しそうに奏で、歌うヲタ的風貌のメンバーたちとのギャップに、強烈なインパクトを覚えることだろう。刺激が強いから、初めて鑑賞する時は、あまりまじまじと映像を直視しないほうがいいかもしれない・・・と忠告したくなるほどだ。しかしこの曲には、聴けば聴くほどに病みつきになってしまう中毒性がある。



milk tea/sexy sexy

milk tea/sexy sexy


先週、初見から6年越しで、この曲のCDを購入するに至った。ネットでPVを再生して聴くのでは満足できなかったのが理由だ。それ以来、通勤の車の中で、自宅で、仕事中の脳内BGMで、この曲がエンドレスループしている。楽しそうで、しかし切なさも漂う、この歌詞と曲が絶妙で、実に素晴らしいのである。


そうはいっても、この現象は一過性のものだろう。「夏の終わり」が「秋の訪れ」に押し出されてゆくに連れて、この曲も自分の中からフェードアウトしていくに違いない。台湾に行き、山中湖でテニスをし、自転車で駆け抜けたこの夏のことを名残惜しみつつ、来るべき秋を充実させるべく、新たな旅行の算段でも巡らせるとしよう。

(45分)