ニコ生コンサート2014

日曜日の今日は、一日中自室の片付けと掃除をしていた。手間をかけた甲斐もあって、紙や本が散らかっていた床がほとんど物が置かれないほどにきれいに整理され、テレビ周りやPC周りも見栄えの良い形に物や配線が再配置された。そして作業が終わった後は近所の入浴施設で汗を流して、心身共にすっきりしたのだった。しかし、これだけで休日が終わってしまうのは、ちょっとばかり物足りないのも事実だった。翌日に仕事を控えていることもあるし、夜は何か気持ちを盛り上げることをしたいと思った。


そんなこともあり、ニコニコ動画の「ニコニコ生放送」で「第28回ファミリークラシックコンサート〜ドラゴンクエストの世界〜交響組曲ドラゴンクエストⅢ」そして伝説へ…」を視聴することにした。これは、8月7日(木)18時から、東京芸術劇場コンサートホールで演奏されたコンサートをネット配信した番組である。視聴は有料で、ニコニコポイントで1500円かかる。昨年もニコ生の配信を利用して、自宅に居ながらにしてドラクエのコンサートを観賞したのだが、今年は仕事の都合で演奏当日に休み(時間休)が取れなかったため、去年のようにリアルタイムで生中継を見ることが出来なかった。しかし、配信は8月13日(水)23時59分で打ち切られてしまう。だったら早く見なくてはということで、これを今夜タイムシフト視聴(生放送終了後の視聴)することにしたのだった。昨年はPCの映像をテレビに出力し、ヘッドホンを使って聴いたのだが、今年は重低音をしっかり感じるために、PC前に座ってスピーカーから音を流すことにした。スピーカーにしたのは、昨年まで悩まされていたノイズの問題が解消したのも大きな理由だった。


19時43分、観賞開始。ドラクエの全ての曲の作曲者であり、指揮とお話をされた、すぎやま先生の元気そうな姿がまず目に飛び込んできた。これだけでまずほっとした。すぐに、ドラクエの序曲「ロトのテーマ」が演奏された。ここでいきなりテンションがマックスになり、目が潤んできた。スピーカーがドドンと重低音を響かせてくれたし、音を美しく再現してくれたので、気持ちが否が応にも盛り上がった。それからの約2時間は、まさに夢のような至福のひとときだった。胸が弾み、心が震えるこの感動は、ドラクエというゲームが、自分がドラクエとともに過ごしてきた時間が、いかにかけがえのない素晴らしいものであったかということの証左だった。観賞中は、終始、深い深い感動に包まれていた。曲順はほぼ交響組曲のCDの収録順(=ゲームの進行順)どおりだったので、進むに連れて徐々にボルテージは高まっていった。そして、クライマックスのエンディング曲「そして伝説へ」が流れた時、そのときの気持ちは、もはや言葉にはならなかった。ただただ、涙。涙腺崩壊と言っていいほどに、ぼろぼろと涙がこぼれた。持っていたタオルは、涙と汗でぐしょぐしょに濡れてしまった。ネット配信だけど聴けてよかった、生きていてよかった。ありがとう、すぎやま先生。ありがとう、東京都交響楽団のみなさん。素晴らしい感動をありがとう・・・。そんな気持ちで、ただただ泣いていた。曲が終わっても、映像の中の拍手は鳴りやまなかった。自分もPCの前で拍手し続けた。全ての曲目を演奏し終えて、舞台の袖へ去っていくすぎやま先生。しかし自分も生で2回見てきた経験者だ。これで終演、とはならないのは分かり切っていた。先生は再び指揮台に戻ってきて、恒例でありお約束のアンコールが始まった。アンコールは3曲、DQⅠの「街の人々」、DQⅧの「大聖堂のある街」、DQⅩの「序曲Ⅹ」が演奏された。頭の2曲は、高ぶっていた気持ちを静めてくれ、大トリにテーマ曲が流れたことで、「これで終わりか」としんみりしかけた心は再び勇気づけられ、奮い立った。さすが先生だ、アンコールの選曲も完ぺきである。こうして、年に一度の夢の時間は、幕を閉じたのだった。


ニコ生が、このコンサートを2年連続で配信したということは、もはや定番化したということだろうから、おそらく来年も同様に配信されるだろう。しかし、ネットで見たことで、やっぱり現地で、あの会場で、生の演奏を聴きたいという思いが強くなった。映像は簡単に見られるデータだ。いくら高音質で、演奏をしているステージの様子が大きくはっきりと見えるというメリットがあるとはいえ、やはりわずかに味気ない部分があることは否定できない。あの空間にわざわざ足を運ぶという労力をかけてこそ、興奮や感動はより一層大きくなるような気がするのだ。来年はコンサートホールで、生演奏を聴こう・・・そんな希望を1年後の未来に描いて、明日からも前向きに生きて行きたいと思う。

(55分)