夜桜

前日の雨が上がり、春らしい晴天に恵まれた週末。満開を迎えた桜が辺り一面に咲き誇る高田公園は、大勢の花見客でごった返していた。自分はその中で、今日の午後半日を過ごすことになった。


正午過ぎ、待ち合わせをしていた高田駅でMちゃんと合流。彼の車に乗り込んで駐車場まで移動。そこからシャトルバスに乗って高田公園に着いたのは13時だった。そこから園内をぶらぶらと歩きながら、春の風物詩を観賞して楽しんだ。昼食を食べずに行ったので、お腹が減ってはいたが、オッサンが口にタバコをくわえながら調理しているような屋台で食べ物を買う気にはなれなかったし、置いてあるPS3が当たるはずもないくじびき屋に無邪気にお金を差しだすような童心はとうの昔に失ってしまったので、地元の人や店が出店している屋台以外ではほとんど買わなかった。どこの誰がやっているか分からないような業者にお金を出しても、あまり地域振興にもならないかなと思ったのも一因だった。






2時間ほど歩きまわった後、再びシャトルバスに乗って駐車場へ戻った。片道100円と安いために大勢の人がバス停に並んでおり、乗るまで20分以上待つことになった。その後、Mちゃんの車で高田駅に送ってもらい、そこで解散する予定だったのだが、その途中に高田本町で大通りを歩行者天国にして何かのイベントをしているのを見かけたことから、事態は急転した。車を前日にオープンしたばかりの「あすとぴあ高田」内の立体駐車場に止めて現場に向かうと、そこでは痛車の展示イベントが繰り広げられていた。その名も「痛車祭り」。何ともストレートなネーミングだ。普段道路や駐車場で偶然に見かけるだけの痛車を、こんなに間近で見ることが出来るなんて全く思っていなかったので、とても興奮した。2011年10月にお台場に行ったときにも偶然1000台規模の壮大なイベントをやっているのに出くわして興味を持ったものの、入場料が必要だった上、カメラのバッテリーが切れていたために泣く泣く断念したことがあった。その点で今回は無料な上、桜撮影用にカメラも2台持ってきていたので、思う存分写真を撮ることが出来る。普段から仕事カバンと車に1台ずつデジカメを常備しているカメラ好きの自分としては、どうにも撮影意欲をくすぐられるイベントだった。大通りには、遠く関西、中国地方から来た車を含む20台ほどの痛車が並んでいた。二人で写真を撮りつつ、外装のペイントのみならず内装までもこだわりが施されたそれぞれの車に感嘆の声をもらしながら、「アート」の観賞を楽しんだ。BMWやクラウンを惜しげもなくペイントしてしまう、痛車乗りたちの潔さと描いている作品やキャラクターへの深い愛情は、自分には絶対真似できないものだ。「我が道を行く」という姿勢には敬意を表したい。





↑自分の一番お気に入りの車。初音ミクがテーマになっているのと、後部座席とトランクをつぶして巨大スピーカーが搭載されているのに度肝を抜かれたのが理由。↓




↑痛バイクもあった。


↑ドアがガルウイングの車が多かった。多分改造したんだと思う。相当金がかかっているのだろうな。


1時間ほど痛車イベントを楽しんだ後、高田駅でMちゃんと別れた。ここで駐輪しておいた自分の自転車に乗ると、再び高田公園に向かった。職場の花見会に参加するためだった。しかし、案の定というべきか、18時すぎに現地に着いたときには、すでに宴会は終わっており、片づけをしている最中だった。飲まないで顔だけ出すつもりだったとはいえ、さすがに参加するのが遅すぎた。その場にいた人たちから口々に「遅い!」と言われ、からかわれたのは無理もないことだった。ここで帰ろうかとも思ったが、その場にいた若手の同僚から「夜桜を見ないか」と誘われたので、それに乗ることにした。1時間ちょっと彼らのアパートで時間をつぶした後、三度講演に繰り出した。辺りはすっかり暗くなっており、桜がライトアップされて浮かび上がる光景は何とも幻想的で美しかった。さすが、日本三大夜桜というだけのことはある、と地元の人間ながら改めて納得。今までほとんど昼間にしか来たことがなかったが、なるほど夜桜も風情があって良いものだ。相変わらず人が引きめきあって歩く中、自転車を同僚に押してもらって、自分は写真撮影に耽った。カメラは片手で操作できないので、とても助かった。






夜桜を満喫した後、同僚2人と別れてようやく公園を後にしたのは、20時半。薄着で来たことに後悔しつつ、寒さに震えながら家までペダルを漕いだ。実はこの翌日も、午後から職場つながりの花見会に参加し、高田公園で宴会をした。ささっと帰るつもりが、なぜか三次会まで行ってしまい、22時まで飲んで月曜はくたくたになっていたのだが、それについては若干苦い思い出でもあるので、自分の心の中に秘めておきたいと思う。

(4/21:80分)