旧友

友人のN君が、今日の午後、自宅に遊びにやってきた。12時すぎに前触れもなく「これから行っていい?」と尋ねるメール届き、OKと返信。急いで部屋を整理し、ちょうど作業が済んだ13時半過ぎに、玄関のチャイムが鳴った。彼が自宅に来たのは、一体いつ以来だろう。もしかすると中学以来かもしれない。彼は中学時代の友人で、高校は別だったが、大学が同じ(学部も)だった。今回会うことになったのは、4月に消防団の新入団員の訓練で再会したのが直接のきっかけだ。その時は、近況を話した後、彼から「また連絡するよ」と言って別れた。それから2ヶ月経って、ようやく連絡が来たということだ。そんなわけで、今となっては特別親しい訳でもない間柄だったので、最初の2時間ほどは話もあまり活発でなく、お互い目をそらしがちで、何だかぎこちない雰囲気だった。だが、自分はどうしても彼に会いたかった。というのは、大学卒業前に借りてそのまま2年半借りっぱなしになっていたPS3ソフト「テイルズ オブ ヴェスペリア」を返却したかったからだ。彼のほうから「やってみて」という感じで貸してくれたものだったが、重い腰を上げてRPGを始めることがどうしても出来ず、やろうやろうと思いつつやらないまま時間だけが過ぎた。借りパクになってしまうのは絶対に避けたかったから、もはや未プレイでもいいから何としても返したかった。だから彼が訪ねてきてくれはのはありがたかった。ずっと引っかかっていた懸案を解決する機会がやっと巡ってきたのだから。それゆえ、冒頭でお詫びをして本人にソフトを返したあとは、自分は一仕事終えたような気分になり、何だか場の空気がだれてしまった。その状態が変わったのは、16時に「いたストSP」を始めてからだった。彼がやりたいと言って棚からソフトを取ったので、二人で対戦プレイを開始。2ゲームやって、共に1勝1敗の引き分け。このゲームに慣れた者同士だったので、静かながらも熱く盛り上がった。その後、例の洋食屋に出掛けて夕飯を食べ、和やかに歓談して、家に帰ったところで今日は解散になった。いたストが出来る相手は貴重なので、また近いうちに会って遊べればいいなと思う。彼は信用金庫に勤めているだけあって、「定期預金をしないか」と勧誘めいたこともたまに言っていたが、今回は詳細は聞かずに気のない受け答えをしてお茶を濁した。友人関係にお金の問題は持ち込まないというのが自分のポリシーなので、友人の情で契約するような愚は犯したくない。もし本気で契約させたいつもりなら、向こうがメリット、デメリットをきちんと提示した上で、自分があくまで冷徹に損得勘定のみに基づいて決める、という形になるだろう。あくまでビジネスライクで、ということだ。まあ、向こうもあんまり推しは強くなかったので、こちらが反応に困るというほどではなかった。お金は使ってナンボ。貯める目的で貯めるのは、金(ゴールド)とプラチナだけで十分だ。

(75分)