とっさに

人から急に話しかけられたり、不意に電話がかかってきたときなんかに、とっさに気の利いたことが言えたらどんなにいいだろう。ねぎらいの言葉、励ましの言葉、感謝の言葉、ジョーク、あるいは理知的な言葉、そうしたちょっとしたスパイスを加えるだけで、人間関係というのはずい分変わってくるものだが、自分はどうにも、用件の話だけしか言えていないようだ。つまらない男である。電話口では必要最低限のことしか言わない自分に対して、かつて「君はいいことしか言わないね」と評した友人がいた。用件には卒なく対応しているが、そのほかに予想外の要素がなく、面白みに欠けるという意味だろうと解釈している。今こそ、その言葉を重く受け止め、姿勢を改めるべき時なのではないだろうか。

(20分)