取捨選択 その5

 
9月にPerfumeのベストアルバム「Perfume The Best "P Cubed"」を「2枚」買った。特典DVDが付属する初回限定盤だ。保存用と普段聴く用に1枚ずつ、という訳ではなく、7月に予約注文していたことを忘れて、発売直前に再度注文してしまったことが原因。ネット通販は便利だが、あまり手軽に買えるせいで買った記憶が希薄になるので、稀にこういうミスも誘発する。


これまでは、具体的には社会人になってからのこの10年ほどは、 こんなふうに、自分の好きなアーティストの新譜が出たら、シングルだろうとアルバムだろうと、PVや評価も見ずに即決でCDを予約注文するのが慣例となっていた。CDは、 購入直後にPCにデータをリッピングして、できるだけビットレートを高く設定したMP3(音楽ファイル)に変換し、以降はiPodやPC上で音楽ファイルを再生して楽しむ一方、CD本体は実家の本棚に保管されたまま、以後ほぼ使われることなく永い眠りに就く・ ・・という流れがデファクトスタンダードとなっていた。だが、本当にこれでいいのだろうか、という疑問が最近湧いてきた。CDを買ってアーティストの活動を応援する、という方針は確かにファン としては正しい。ただ、消費者として、購入直後の一度しか再生しない新品のCDに高いお金を払うという行動が経済的と言えるのか 、本当にそれで値段相応の効用を得られているのか、特に一昔前の ように自由にお金を使える身分ではない今、この習慣を続けることが果たして合理的で持続可能なのか・・・。また、CDをその都度再生して聴いた方が当然音質は良いが、気軽に聴けることが重要なので、 手間のかかるCDでの再生は自分にはなじまないし・・・。そんな ふうに自問するようになっていた。


この問題について、上記のアルバム購入から1ヶ月半ほど考えてみた結果、自分は「今後は新品の音楽CDは原則買わない」という方 針を決めるに至った。確かにファンとして、これからもアーティストの新曲が出たらそれを追いかけていきたいし、 音楽ファイルは手元に欲しい。だが、新曲を入手する手段を、「 CDを新品で購入する」という方法一択に限定することは、経済的負担が非常に大きく、「好きな音楽を楽しむ」という一番大事な目的の持続性を損なう可能性がある。だから、音楽の入手手段としては、新品CDは買わず、レンタルCDの流通や、 中古CDの値下がりを待ってから、それらを利用・ 購入するという方法を今後は採用することにした。これにより、 財政的な制約の中で、費用負担を削減しつつも、引き続き音楽の楽しみを享受できるだろう。個人的なデメリットは、 新曲の入手が少し遅れることだが、1~2ヶ月程度は瞬きしている間に過ぎ去る今日この頃なので、それは大した問題ではない。CDの保管スペースもこれ以上必要なくなるから、支出、所有物の両面でのリストラにつながる。


唯一問題があるとすれば、それはCD購入以外の方法で、アーティストを金銭的にどうやって応援するかということだ。これについて は、今は難しいものの、長期的には2年に一度程度、ライブやコンサートに行くことが最大の応援になると思う。チケット代と交通費 を考えるとあまり節約にはならないかもしれないが、 得られる効用が非常に高いことは間違いない。いずれ実現したい夢の一つとして、心に留めておきたい。なお、今所有しているCD・ DVD類は当面このまま所有し続けるが、墓場に行く直前まで持っていたいものと、そうでもないものの取捨選択は、また近いうちに行うつもりでいる。


そういう訳で、11月27日発売の坂本真綾のアルバム「今日だけの音楽」を聴けるのは、当分先のことになりそうだ。気になってモヤモヤする感覚をむしろ大事にして、発売から約3週間後のレンタルCDの流通を待ちたいと思う。

 

今日だけの音楽(通常盤)

今日だけの音楽(通常盤)

 

 

(40分)