幸運

鍵が見当たらないのでなくしたものだと思って、自転車を大学に停めっ放しにしていた。


折りしも先週から雪が降り積もっていたこともあり、これまで移動には非常に不便を被っていた。防水型の靴もないから、今日なんて人が歩いたところだけ中途半端に雪が解けて多数発生した深い水溜りに足を取られ、非常に冷たい思いをさせられた。授業さえなければこんな足場の悪い大学の中になど来やしないのだが…。


もう鍵ぶっ壊すしかないかな、と思っていたのだが、「もしかしてもしかすると…」とかすかな期待を持って、シェードに守られつつも雪によって隔絶されていた自転車に一週間ぶりに近づいてみると…思ったとおりだった。ロックはかかっておらず、鍵は刺しっぱなしだったのである。何とまあ間抜けなことをしたものか、と一瞬呆れたが、すぐに「でも一週間盗まれず無事でいてくれてよかったぁ」とほっとしたのだった。


帰りは下り坂をすいす〜いと下って、アパートまでたどり着くのはら〜くらくだった。力強く素早い「足」を取り戻したし、実家から送ってもらった防水靴も届いたので、明日は久々に雑貨などを買いに行こうと思う。

(20分)